「会社を分析できる力を持っている」「投資に回せる余裕資金もある」それなのに株式投資でうまく利益を伸ばせない・・・。そんな悩みはありませんか?
株式投資にはもうひとつ、成功できるかどうかを大きく左右するとても重要なことがあるのです。それは「忍耐力」すなわち、株価の値動きに一喜一憂しない精神力を持つことです。
株価と企業価値の関係
株価に振り回される投資家
株式市場では、常に株価が変動しています。
株価が上昇すれば「これから株はもっと上がるだろう」と言う強気な声や、その会社に対する良い意見によって、先行きが明るい雰囲気が広がり買い出す人が増えてきます。
反対に下落すると「株はまだ下がりそうだ」と悲観的な声やその会社に対する悪い意見が広がり、売って現金化する人が増えてくるのです。
株価は会社の業績と連動する
上記のような集団行動に巻き込まれていて、本当に資産形成できるのでしょうか?
確かに短期的に見ると、株価は株の価値(会社の業績や成長性)と無関係な「経済や株式市場全体の雰囲気」に左右されてしまいます。しかし、長期的な視点で見れば、会社の業績がきちんと反映された形で動くのです。
株価が下落した時、忍耐力が備わっていないと、しっかり企業分析出来ているにもかかわらず、先行きの不安からすぐに保有株を売却してしまう行動に出てしまうのです。
価格変動に翻弄されない投資家の考え方とは?
「バリュー投資の父」ベンジャミン・グレアムの投資格言
私は、価格変動に翻弄されそうになった時に、ベンジャミン・グレアム*1の「価格変動に翻弄されるのではなく、それを利用することが大事」という言葉を思い出すようにしています。
グレアムが「賢明なる投資家」の著書で、株式市場を「ミスターマーケット」と比喩した例え話しを意識し始めてから、株価変動に翻弄されることが減ったからです。
「ミスターマーケット」 の要約
- ミスターマーケット(=株式市場)が理性を失い異常な安値を提示したら株を買い、異常な高値を提示したら売る
- それ以外の時は事業内容や業績などに基づいて自分なりの持ち株の評価を持ち続ける
- 欲望と恐怖によって行動するのではなく、その動きを利用する冷静で合理的な投資家になる必要がある
この言葉の意味を理解する事で、「株価変動に翻弄されていては、投資で成功する事は出来ない!」と考えるようになりました。
株価変動に翻弄されない投資家になる方法とは?
暴落時も冷静に見極める
暴落で株式市場の雰囲気が悪化し保有株が売り叩かれると、「自分がどんなに自信を持っている会社の株」でも、信念が揺らぎ不安になってしまうものです。
しかし、そんな時に安易な売りに走るのではなく一旦深呼吸をして冷静になります。そして、改めて保有している理由を見直してみるのがおすすめです。
- この会社のどんなビジネスモデルに惹かれたんだったかな?
- 現在の株価は、会社の価値と比べて割安かな?
- 今後もこの会社は成長が期待できるかな?
よく考えたら「こんな安値で売ってはもったいないんじゃないか?」と言う気持ちになれば大成功です。
暴落は暴落理由に注意する
この時に、ひとつ注意点があります。
それは、株価下落の理由が直接会社の業績に影響があるか否かという点です。「会社の業績や成長性=株の価値」となるので、業績や成長性に陰りがあるようなら潔く売却する事も大切なのです。
- 会社の業績に直接影響がない株価下落:会社の価値が変わらないなら売る必要はない
- 会社の業績に影響を与える株価下落:どの程度業績に悪影響を与えるのかを見極め、時には売却も必要
関連記事:突発的な株価暴落の時の「投資家の行動」や「対処法」について、以下の記事でまとめています。
急騰時も冷静に見極める
株式市場では、暴騰した株がより一層買われ、通常では考えられないくらいの高値を付けることもあります。しかし、本来の価値を超えて暴騰したものは、一時的なお祭りで終わることがほとんどです。
長期的には、急騰したものも下落し本来の価値に収束するのです。このとき「もっと儲けたい」「一攫千金のチャンスだ」と欲望に駆られてしまうと利益確定のタイミングを逃したり、異常な高値で買い増しをしてしまうことになりかねません。
ここでも冷静に売り時を見極める必要があります。
売るか迷った時は…
- 今の値段でも買いたいか?と自問自答する
- 少しずつでも、売却しておく
リスクを取りすぎると忍耐力が落ちる
値動きの荒い株に投資する場合は、値動きが荒い分利益の幅が大きくなるので注意が必要です。一見すると、大きな利益が手に入りそうに見えますが、常に暴騰と暴落を繰り返すようなものですので、ついつい熱くなってしまいかねません。
具体的には、「新興市場の人気の高い小型株」ほど値動きが荒くなり、「地味で目立たない企業」は出来高も少なく大きな値動きがない場合が多いです。
特に、株式投資を始めたばかりの初心者であれば、値動きの荒い株を買うのは避けた方が良いです。
自分のルールを設ける
私自身は、値動きの荒い株は、極力買わないようにしています。しかし、どうしても良い会社が見つかった場合には、冷静さを保つための自分ルールを設けることにしています。
- 値動きの荒い株に大きすぎる資金を入れない
- 信用取引を使わない(自分の資産以上の金額を使わない)
リスクを取りすぎないようにする事で、意識的に冷静さを保てるようにしています。
参考にした書籍
- 賢明なる投資家
今回の記事は、ベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」を参考にして書きました。賢明なる投資家は、初心者には難しい部分も多いですが、投資の根本的な部分を理解するのに役立つので、特に中長期投資家にはおすすめです。
- 儲けの鉄則
「儲けの鉄則」は、ベンジャミン・グレアムを含む12人の名投資家の投資方法を分かりやすく、かつ日本株に置き換えて解説しているので非常に理解し易い内容になっています。初心者でも無理なく読める内容です。
*1:アメリカの経済学者であり、投資家。「バリュー投資の父」「ウォール・ストリートの最長老」などとも呼ばれることがありウォーレン・バフェットの師匠としても有名。