株は正式には「株式」と言い、会社が事業に必要な資金を調達するために発行しています。
『株の仕組み』について、難しい言葉が並ぶと理解しにくいですので、簡単に考えられるようにストーリー形式で説明しています。株って何なの?という疑問が少しでも解消されれば嬉しいです♪
1.会社を作ったけど資金がない
『パン屋さんを開業したいけど資金が足りないスミレさん』の物語
スミレさんは、将来自分のお店を持ちたいと考えていました。夢の為にせっせと貯金をして、3年間で100万円を貯めました。
みんなに喜ばれる美味しいパン屋さんを開業したい!
お店を出すなら今のタイミングだと考えていました。しかし、計算してみるとお店を出すためには1000万円もの開業資金が必要だとわかりました。
貯金は100万円しかありませんし、1000万貯めるまで待つとかなり計画が遅れてしまいます。
1000万円貯まるのなんて待ってられない…お金を集める方法はないのかな?
「お金が無いなら借りれば良いのでは?」と考えたスミレさんは、銀行にお店の開業資金を借りれないか頼んでみることにしました。
しかしながら、「自己資金は100万円しかないのですね」「売上がまだ無いのにどうやって返済するのですか?」
…と銀行に取り合ってもらえませんでした。
どうやら銀行としては、自己資金100万円しかないスミレさんに、開業資金の900万円を融資するのはリスクが高すぎたようです。
借入金が多いと金利の支払いも大変です。開業して間もなかったり、自己資本が少なすぎる人は信頼されにくいので、銀行から必要な資金を全て借りるのは難しいのです。
2.株を発行すれば銀行に頼らず資金を集められる?
困ったスミレさんは、会社を経営しているサクラさんに相談してみることにしました。
「スミレさんの夢を応援したい人に資金を出してもらって株主になってもらったら?」
サクラさんは、株を発行すれば銀行から借入しなくても資金を集められ、なんと集めた資金は返済しなくて良いと言うのです。
お金を借りるのに返さなくて良いの?それは凄い!
早速サクラさんのアドバイスに従って、お店のコンセプトや、立地、ターゲット客層、次ごとの売上や利益予想などをまとめた資料を作りました。そしてスミレさんは、サクラさんや他の友人を家に招いて事業内容の説明を始めました。
「みんなに喜ばれるパン屋さんを出したいんです。このパン屋さんの魅力はね…」
スミレさんの話しを聞いた友人が、「面白いお店だね!是非あなたの店に投資したい」「失敗したらお金は返ってこないけど、“成功したら何十倍にもお金が増える可能性がある”なんて凄いものね!」と言ってくれました。
しかし、スミレさんは自分の開いたお店が成功したらみんなのお金が増えるという意味が良く分かっていないようでした。
えっ?どうして私のお店が成功したらみんなのお金が増えるの?
3.会社の儲けは株主のもの
「私のお店の利益はみんなのものなの?頑張って働くのは私なのに?」とスミレさんは戸惑っています。
しかしサクラさんは「みんなリスクを負ってあなたのお店に投資しているのだから、利益が出たらみんなで分けるのは当然よ」「それにあなたの働いた分は、毎月給料がでるのだから不公平ではないでしょ?」と言います。
「なるほど…!」とスミレさんは、納得しました。
そもそも資金が無いとお店を開くことすら出来ないのだから、資金を出してくれた株主に利益を還元するのは当然なんだ!
【ここまでのおさらい】
- 会社は資金を出してもらう代わりに株を発行する
- 集めた資金は返済しなくて良い
- 会社は経営者のものではなく資金を出した人達のものになる
- そのため会社の利益も株主のものになる
4.会社の所有割合も重要
「これでお店が出せる!」と喜んでいたスミレさんでしたが、サクラさんは何かを言いたそうです。
「仮にスミレさんが100万円で、残りの900万円を友人達に出資してもらうとすると、“スミレさんのお店の所有割合は1割になってしまうの”」
お店(会社)の所有割合って何のこと?
「株主全員が出資する金額に対して何%の金額を自分で出すかの割合よ。その割合だけ、あなたは会社を所有していることになるの」
「という事は、100万円の資金をだす私が“貰える会社の利益は10%分だけ”ってこと?」
「そうよ!でも恐いのはそれだけじゃなくて、“会社の経営に関わる重要な決定事項を決める権利(議決権)”も10%分しか持っていないことなの」
「経営に関わることは多数決で決めるから、もし過半数の人達が“あなたが経営者では会社が成長しない!”といったらあなたは経営者をクビになってしまうわ」
えぇ!自分が設立した会社なのにクビになる事があるの?
「会社の経営権を持ちたいなら、会社の株の過半数…つまり51%以上の株を保有する必要があるわ」
「そうだったんだ。つまり1000万円の51%だから510万円…!!」
どうしても経営権が欲しかったスミレさんは、家族や親せきからお金を借りることで何とか51%分の株を保有した状態で、無事にお店を出すことができたのでした。
『おしまい』
【今回のまとめ】
株は、会社が事業に必要な資金を調達するために発行しています。
会社を新しく設立したり、新しい事業を行おうとした時には資金が必要になりますが、手元の資金だけでは足りない場合に『株式』を発行して資金調達をしているのです。
「株式を買う」ということは、出資者=その会社のオーナーの一人になるという事なので、会社の利益や経営に重要な決定事項を決める権利の一部を持つ事ができるのです!