今回は、負債の部「固定負債」でよく使われる勘定科目をまとめて解説していきます♪
資産の部「固定資産」
貸借対照表は、資産の部「流動資産・固定資産」、負債の部「流動負債・固定負債」、純資産の部「純資産」にわかれています。
このうち、負債の部の「固定負債」は、将来支払わなければならない借金のうち、返済期限まで1年以上の猶予がある借金が分類されます。
固定負債の中身
固定負債の主な項目は、長期借入金・社債・退職給付引当金です。
- 長期借入金:1年を超えて返済可能な借金。すぐに返済する必要がない。
- 社債:企業の発行する債権。投資家に買ってもらい、金利を支払う。
- 退職給付引当金:退職金を支払うための準備金
それでは、固定負債の中身を順番に見ていきましょう!
長期借入金とは
長期借入金とは、銀行などに借りているお金のうち、返済期限が1年を超えるものです。長期借入金のうち、返済期限が1年以内となったものに関しては、流動負債へと計上されます。
長期借入金は、自己資本ではきびしい高額な設備投資や新店舗の出店費用などにあてられます。
設備投資をした工場や新店舗からの利益で投資資金を回収するのには時間がかかります。そのため、短い期間で返済が必要な短期借入金(流動負債)を使うと、資金繰りが厳しくなってしまいます。
しかし、長期借入金(固定負債)であれば、売上の拡大にともなってゆっくりと返済できます。
短期より長期借入のほうが安全性が高い
企業にとっては、短期借入金よりも長期借入金として借りたほうが安全性が高まります。
短期借入金であれば、買掛金や支払い手形を回収するまでのつなぎ資金なので、金融機関から借りやすくなります。
しかし、長期でお金を借りるためには、金融機関からの信頼が必要となります。そのため、倒産リスクのある企業のように、貸したお金を返済できるか疑わしい企業は、長期間でお金を貸してもらえません。
つまり、長期借入金がある企業は、金融機関から信用されている=安全性が高い証拠ともいえます。
社債とは
社債とは、長期の資金調達をするために企業が発行する有価証券です。社債を投資家などに買ってもらうことで、一時的に多額の資金を調達することができます。
長期借入金と同様に、返済期限が1年を切ったものに関しては流動負債に計上されます。
社債と株式のちがい
企業が投資家から資金調達する方法には、社債のほかに株式があります。
社債を発行して集めたお金は、負債の部「固定負債」に計上されます。(投資家は企業に対してお金を貸している)
投資家は、利息を得るためにお金を貸しているので、社債を購入した人に対して利子を支払う必要があります。また、償還日になったら、企業は元本を返さなければなりません。
一方で、株式を発行して集めたお金は、純資産の部「株主資本」に計上されます。 (投資家は企業に対してお金を出資している)
投資家は、企業の成長へ投資して、配当金や売却益を得ることを目的として出資しているため、企業には調達したお金を返済する義務はありません。
そのため、返済の心配なく成長への投資に使うことができます。
固定負債は流動負債よりゆっくり返済できるので安全性は高いですが、最終的には返済しなければなりません。一方で、株主から出資してもらったお金であれば返済義務はないので、企業側にとってはさらに安全性が高まります。
退職給付引当金とは
引当金とは、将来発生する可能性が高い損失に対して、あらかじめ費用をつんでおくものです。
流動負債の引当金には、賞与引当金のように1年以内に支払われる費用が積み立てられています。一方で、固定負債の引当金には、退職金のように数十年にわたって積み立てていくものが計上されます。 (退職給付引当金)
退職金の支払いによって実際にお金が減るのは将来ですが、今期従業員が働いたことが原因で発生する費用です。そのため、今期の収益に対する費用は今期計上します。
将来のお金の減少を今期の費用として計上することで、将来実際にお金が減ったときに費用を発生させずに済みます。
さいごに
ここまで1年を超えて返済できるお金を表す「固定負債」について紹介してきました。
固定負債の主な項目は、「長期借入金」、「社債」、「退職給付引当金」です。
流動負債のように1年以内に返済する必要がないので、負債の部のうち固定負債の割合が大きいほど資金繰りは安定しやすくなります。
そこで、負債の部を見る際には、流動負債と固定負債の割合に注目してみましょう!
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