株式投資では、「この株の価値はどのくらいなのか?」 を正しく見積もり、現在の市場で評価されている価値(株価)と比較することが大切です。
本来の株の価値を見積もることができれば、現在の株価が安いのか高いのかを見極めて、割安な株に投資することができるからです。
1,000円の価値がありそうな株が、現在は株価500円で評価されている!
それなら、現在の株価から2倍程度の上昇余地がありそうだね!
理論株価を計算しよう
企業まるごとの価値から考える
株の価値を考えるときには、企業全体の価値を把握することが大切です。
そこで、いきなり1株の価値をもとめようとするのではなく、まず企業を丸ごと評価して、それから発行済み株式数で割り1株あたりの価値を求めるようにします。
企業を丸ごと買うつもりで評価しよう!
簡易的に理論株価を見積もる方法
今回は、山口揚平さんの書籍「知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ」で紹介されている簡易的な見積もり方法を参考に紹介します。
- 事業価値を見積もる
- 財産価値を見積もる
- 事業価値と財産価値から負債(借金)をひく
- 発行済み株式数で割る
1.事業価値を見積もる
まず、事業価値は「どれくらいの収益を上げられるか?」ですので、事業での儲けを表す営業利益を基準に考えます。
ちなみに、一時的な損益を含んでいるおそれのある純利益や経常利益を使うと、純粋な会社の収益がみえにくくなってしまいます。そこで「営業利益」を利用することで、特殊要因による異常値にまどわされにくくなります!
事業価値は営業利益の10倍⁉
事業価値=営業利益×10倍
事業価値を簡易的に見積もるには、「営業利益×10倍」 がひとつの目安になります。この計算式を活用することで、営業利益が10億円の企業であれば、事業価値は大まかに100億円と評価できます。
また、将来の営業利益の成長を加味する場合は、現在ではなく中長期目標の営業利益をもとに計算してもいいと思います。営業利益が10億円が、中長期的には営業利益を20億に増やす目標をかかげているのであれば、将来的には大まかに200億円くらいの事業価値になると考えられます。
営業利益×10倍で大まかな事業価値が見積もれる!
なぜ営業利益を10倍にするの?
事業価値=営業利益×10倍の計算式は、株式投資の期待利回り6%がもとになっています。
日本の実効税率を約40%とすると、企業は10億円の営業利益に対して4億円の税金を支払うことになります。つまり、残った6億円が実際に事業で儲けた利益となります。
この6億円を期待利回り6%で割ると、6億円÷0.06=100億円となり、営業利益の10倍となっていることが分かります。
株式投資の期待利回り6%は、投資家が株式投資に期待する利回りの目安です。世界の歴史的な平均値であるPER15倍は、ちょうど15年で元がとれる計算なので、期待利回りに戻すと6%程度になります。(期待利回り6%=1÷0.06=16.6年で元が取れる)
2.財産価値を見積もる
続いて、事業をおこなう上で直接必要のない財産を見積もってみましょう。
事業に直接必要のない財産とは、企業が持っている現金や株式、土地などの資産のことです。※企業の持っている財産は、貸借対照表で確認することができます。
財産価値を見積もるには、「流動資産の中の財産部分」と「固定資産の中の財産部分」を足す必要があるのですが、以下の式で簡易的に計算することができます。
財産価値=流動資産の財産部分+固定資産の財産部分
流動資産の財産部分
流動資産とは、1年以内に現金化される資産です。流動資産の財産部分は、「流動資産−(流動負債×1.2)」で簡易的に見積もることができます。
流動資産から流動負債×1.2を引いている理由は、上場企業の流動比率(流動負債に対する流動資産の倍率)の平均である1.2倍がもとになっています。
流動資産の中の財産を「家計」で例えてみると次のようになります。
『毎月カードの引き落とし(借金)が10万円あるから、銀行口座の残高と毎月の給料を合わせても最低1.2倍の12万円は必要だろう。逆にそれ以外のお金は普段の生活に必要ない財産』と考えられるイメージです。
固定資産の財産部分
固定資産とは、1年以内に現金化しない資産です。 固定資産の中の事業をおこなう上で直接必要のない財産は、「投資その他の資産」部分となります。
投資その他の資産とは
投資その他の資産には、長期の投資に関するものと、有形固定資産・無形固定資産のどちらにも該当しない資産が計上されています。
主な投資その他の資産には、投資有価証券、関係会社株式、長期貸付金、繰延税金資産などが該当します。
財産価値=流動資産−(流動負債×1.2)+投資その他資産
このような理由から、財産価値は、流動資産の財産部分である「流動資産−(流動負債×1.2)」と固定資産の財産部分である「投資その他資産」を足すことで簡易的に見積もることができます!
3.事業価値と財産価値から負債(借金)をひく
事業価値+財産価値−固定負債
現段階で、事業価値と財産価値を見積もることができています。あとは、事業価値と財産価値を足した値から、借金を引かなければなりません。
ここでは、簡易的に固定負債を引くことにします。これで、企業全体の大まかな価値が求められした!
慣れれば、ここまで5分程度でできるそうです!
4.発行済み株式数で割る
企業価値÷発行済み株式数=理論株価
最後に、3で求めた「企業全体の価値」を、「発行済み株式数で割る」ことで、1株あたりの価値=理論株価が求まります!
理論株価と現在の株価を比較しよう
上記の方法で求めた「理論株価」と「現在の株価」を比較することで、その株の割安度が分かります。シンプルに、現在の株価よりも、理論株価が高ければ高いほど割安株ということになります!
割安状態
「現在の株価」よりも「理論株価」のほうが高い場合、株価は割安状態と判断できます。割安度が高いほど、株価の上昇余地が大きくなります。
適正状態
「現在の株価」と「理論株価」が同程度の場合は、株価は適正状態と判断できます。
割高状態
「現在の株価」よりも「理論株価」が低い場合は、株価は割高状態と判断できます。金額の差が小さければ小さいほど割高です。
最後に
ここまで「理論株価」と「現在の株価」を比較して割安株を見つける方法を紹介してきました。
今回紹介した方法は、分かりやすい簡易的なものであり完璧な計算式ではありませんが、理論株価を算出する大まかな流れは知っておいて損はないと思います♪
また、あくまで会社の割安感をはかるひとつの目安に過ぎませんので、いくら理論株価が割安であったとしても必ず株価が上がるわけではありません。
実際に投資するときには、会社全体をバランスよく分析することをおすすめします!
理論株価を自動計算できるツール
理論は分かったけど、実際に企業価値から理論株価を計算するには、『会社の事業価値と財産価値から、負債を引いて…』と自分で計算するとややこしいと感じる人も思います。
そんな時は、決算の数字をもとに理論株価を自動計算してくれるGMOクリック証券の株価分析ツールがおすすめです。
参照:GMOクリック証券 株価分析ツール
ちなみに、理論株価の計算は、サイトによっては別の計算方法を採用しているものもあり正しい答えがあるわけではありません。
しかし、GMOクリック証券の株価分析ツールは、今回紹介した「企業価値をもとに理論株価を算出する方法」に考え方が近いのでぜひ活用してみてください♪
LINK【理論株価を自動計算!】GMOクリック証券の株価分析ツールとは?
参考にした書籍
今回は、山口揚平さんの書籍「知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ」を参考にさせていただいたきました。とても分かりやすい内容でしたので、詳しく方は読んでみてください♪