株式市場が大きく下落すると、「セリングクライマックス」という言葉が目につくようになります。これは、市場が底打ちしたというサインとも言われていますが、いったいどんな現象なのでしょうか?
この記事では、セリングクライマックスの意味と、その見極め方についてわかりやすく解説します。
株価反転の兆候?セリングクライマックスとは
「セリングクライマックス」とは、株価が下落し続ける中で、多くの投資家がパニック状態となり、株式を大量に売り払うことで、出来高と売買代金が急増し、株価が大きく下落する現象を指します。
いわば、「売りの極み」の状態であり、下落相場の最終局面と考えられています。
そして、売りたい投資家がひととおり売り終えると、今度は割安になった株を買いたい人が増えます。そのため、セリングクライマックスは、株価が底を打って上昇に転じるサインといわれています。
株価反転タイミングを見極めるのに役立つ!
ただし、あくまで確率的な話しであり、必ずしも上昇するわけではありません。
市場環境の変化や新たな悪材料の発生などにより、下落が継続するケースも十分考えられるので、慎重な判断が必要です。
セリングクライマックスの見極め方
セリングクライマックスを正しく見極めるためには、以下の点に注目して総合的に判断することが重要です。
1.テクニカル分析で判断する
セリングクライマックスでは、以下のようなチャートパターンがみられます。
出来高の増加
多くの投資家が同じタイミングで売却に動くため、売買が活発化し、出来高が増加します。
通常、株価が大きく動く際には出来高が増加しますが、セリングクライマックスでは特に増加しやすくなります。
長い陰線
陰線とは、株価の終値が始値よりも低い状態を表すローソク足です。
セリングクライマックスでは、売り圧力が強まるため、長い陰線や、下ヒゲが長い陰線がよく見られます。
2.投資家心理で判断する
投資家心理の大幅な悪化も、セリングクライマックスが近いことを示すサインのひとつです。
株価が大きく下落すると、投資家は極度の悲観に陥りがちです。パニック状態になり、株価はまだまだ下がるのではないかという雰囲気が市場全体に漂います。
特に、メディアが株価暴落のニュースを大きく取り上げ、人々の不安をあおるような報道をおこなうことで、この心理はさらに強まります。
また、SNSでは投資家同士が情報交換をおこない、リーマンショックやコロナショックといった過去の危機を連想させるようなネガティブな意見が急速に拡散され、投資家の悲観的な見方がますます広まる傾向にあります。
しかし、投資家が一斉に悲観的な見方をすると、その悲観的な見方はすでに株価に織り込まれている可能性が高まります。つまり、悪いニュースがすでに株価に反映されているため、これ以上の大きな下落は起こりにくくなるのです。
逆に、このような状況で良いニュースがでると、株価が大きく反発する可能性があります。
3.市場過熱感をはかる指標で判断する
株価が反転する兆候を探る際には、市場の過熱感を測る指標も併せて確認することをおすすめします。
市場が売られすぎているかどうかを判断するためには、「信用評価損益率」、「騰落レシオ」、「VIX指数」といった指標が参考になります。
信用評価損益率
「信用取引評価損益率」は、信用取引で株を買っている投資家たちが、現在どれくらいの損益となっているかのバロメーターです。
この数値が大きくマイナスになるほど、市場が売られ過ぎの状態にあると判断されます。
騰落レシオ
騰落レシオは、市場全体の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率を示すもので、市場の温度計のようなものです。
この数値が低いほど、市場全体が売られすぎの状態にあると判断され、株価が底打ちして反発する兆候と判断されます。
VIX指数
VIX(ビックス)指数は、市場のボラティリティを示す指標で、「恐怖指数」とも呼ばれています。
VIX指数はS&P500指数のオプション価格をもとに算出され、投資家の不安感や恐怖感を反映します。
VIX指数が高い値を示すと、市場の不安やリスクが高まっていることを意味します。特に、VIX指数が急激に上昇する場合、投資家の恐怖感がピークに達している可能性があり、その後の反発の兆しとなることもあります。
さいごに
ここまで、セリングクライマックスについて解説してきました。
セリングクライマックスは、市場の底を示すひとつの指標として注目されることが多いですが、慎重に見極める必要があります。
とはいえ、株価が反転するサインについて知っておくことは、株価が急落した際の心の支えになるのではないでしょうか♪