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有価証券報告書の読み方を徹底解説!投資家はどこを見るべき?

 

有価証券報告書の読み方を徹底解説!投資家はどこを見るべき?

ややこしく感じる有価証券報告書ですが、実は投資に役立つ情報が豊富にのっています。

そのため、有価証券報告書までしっかり目を通すことで、決算短信しか読んでいない投資家よりも多くの情報が得られます

今回は、有価証券報告書の読み方を徹底解説していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

有価証券報告書とは?

有価証券報告書とは、会社の成績表のようなものです。上場企業は年に1度会社の経営状況を公開しなければならないルールになっています。

決算短信と有価証券報告書のちがい

投資家に馴染みの深い「決算短信」は、会社の経営成績を投資家に素早く伝えることを目的としています。その為、決算日から45日以内に開示しなければならないルールとなっており、情報量よりも速報性が求めらます。

その一方で、「有価証券報告書」は、開示までの期限決算日から90日以内と、決算短信よりも長くなるので、内容の詳しさが重視されます。

決算短信では省略されている部分の情報も詰まっているので、より詳細な情報を知りたければ、有価証券報告書にも目を通すことをおすすめします!

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決算短信は素早さ重視、有価証券報告書は内容の詳しさ重視! 

有価証券報告書はどこでみれる? 

有価証券報告書は、企業ホームページのIR情報にのっていることが多いので、インターネットで「会社名+有価証券報告書」と検索すればヒットします。

ほかにも、金融庁の「EDINET」と呼ばれるサイトを利用すれば、すべての上場企業の有価証券報告書を閲覧できます。

なお、有価証券報告書は、情報量がとても多くページ数も100から200ほどあるので、すべてを読もうとすると挫折しかねません。そこで、有価証券報告書にどんな情報が書いてあるのかを把握することで、必要な情報を効率よく読み進めることができます!

それでは、有価証券報告書の中身を見ていきましょう!

 

第1.企業の概況

主要な経営指標の推移

主要な経営指標の推移では、直近5年間の売上高、利益、自己資本比率、株価収益率(PER)、現金同等物の残高、従業員数など経営に関する指標を確認することができます。それぞれの指標が伸びているかをチェックしていきましょう。

例えば、従業員数が右肩上がりに伸びていれば、業績好調で成長意欲のある会社ではないか?と推測できます。また、現金残高が増えていれば、今まで稼いだ利益をコツコツ貯めている会社と推測できます。

ちなみに、業績・財務などの経営指標など推移は、数字で見るよりも、マネックス証券の「銘柄スカウター」でグラフ化したものほうが理解しやすいのでおすすめです。

沿革

沿革には、「どんな事業から始めたか?」や「どんな会社を子会社化したか?」といった会社の歴史について書かれています。会社の軌跡を把握するためにも、サラッと目を通しておきましょう。

事業の内容

事業の内容では、どんな事業をして稼いでいるのかについて記載されています。

会社HPや決算説明資料などにも事業内容は記載されていますが、有価証券報告書の事業の内容には、さらに深掘りした内容が記載されているので要チェックです。

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会社の事業を把握するために、しっかり読んでおきたい箇所!

関係会社の状況

関係会社の状況には、その会社の子会社や関係会社の情報がまとまっています。

どんな事業をおこなっている子会社なのか?や、決議権の所有割合をどの程度保有しているのかを確認しておきましょう。(100%保有=完全子会社、50%以上保有=子会社、20%~50%=関係会社)

従業員の状況

従業員の状況では、平均年収・平均勤続年数・平均年間給料・セグメントごとの従業員数が分かります。※提出会社の状況の項目は、子会社は含まない親会社だけの情報です。

働いている人たちの情報から、会社の姿をイメージすることができます。

従業員の状況
  • 平均年齢:平均年年齢が低い会社は、若い人材を積極的に雇用していて成長に期待が持てそう
  • 平均勤続年数:同業他社よりも短い場合、離職率が高く労働環境に問題があるかも?※「設立年数が浅い会社」や「新規採用した従業員の割合が高い」場合は短くなりやすいので例外
  • セグメント別の従業員数:どの事業に力を入れているか(人員を割いているか)を読み取るのに役立つ

 

第2.事業の状況

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

会社の経営方針、経営戦略、重視している経営指標、経営環境などは、会社の方向性や会社を取り巻く環境を読み取るのに関する重要な箇所なのでチェックしておきましょう。

また、対処すべき課題に対して、会社がどのような姿勢で課題に向き合っていくのか?にも注目しましょう。

事業等のリスク

事業等のリスクでは、会社の抱えているリスクが詳細に記載されています。

事業等のリスクは、企業の存続にかかわる重要な箇所です。何かおこった際に、素早く投資判断できるよう会社の抱えているリスクをあらかじめ把握しておくことをおすすめします。

事業等のリスク例
  • 事業内容や環境的なリスク要因:競合先の増加、需要の減少など
  • 経営成績に変動がある:景気や季節に売上が左右される、為替変動の影響を受けやすいなど
  • 特定の取引先や製品への依存度が高い:何らかの理由でダメになったとき業績に重大な影響が出る
  • 特定の人物への依存度が高い:経営に関する意思決定が創業者などに依存している場合、何らかの理由で業務困難になると業績に影響が出る

どんな会社にもリスクはあります。リスクを認識しているか(ありきたりで抽象的な内容ではなく、具体的なリスクに言及しているか)や、リスクを軽減するための対策がされているか(対処すべき課題で言及されているか)などをチェックしておきましょう。

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事業のリスクを把握するために、しっかり読んでおきたい箇所!

経営者による財務状況・経営成績及びキャッシュフローの状況の分析

経営者による財務状況・経営成績および、キャッシュフローの状況分析では、決算短信には載っていない「生産・受注および販売の実績」に注目しましょう。

販売実績では、全体売上の10%以上を占める主要な販売先がある場合に、直近2期分の販売実績と売上全体に対する割合を記載されています。記載されている場合には、「主要な取引先はどこか?」や「どの程度の割合を占めているのか」を確認しておきましょう。

また、売上の30~40%以上が特定の企業に依存している場合、相手先の経営状況に売上が左右されるリスクがあるので注意が必要です。

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売上の割合が、特定の企業に依存し過ぎていないか確認しよう 

 

第3.設備の状況

設備投資等の概要

設備投資等の概要には、この1年で実施した設備投資金額と、設備投資の目的や内容が記載されています。どんなことに投資したのか?を確認しておきましょう。

また、セグメント別の内訳を載せている場合には、投資金額などから「どの事業に力を入れているのか?」を読み取ることができるので要チェックです。

設備投資は、会社の成長にかかせない重要な部分です。設備投資の内容や金額から、どの事業に積極的に投資し拡大するのかや、どの事業を撤退・縮小していくのかなどを読み取ってみましょう。

主要な設備の状況

主要な設備の状況では、会社の所有・賃借している主要な設備の状況や、帳簿価額(会計上の資産や負債の評価額)がわかります。賃借している設備(本社や倉庫など)に関しては、設備の内容や年間賃借料が記載されています。

設備の新設、除去等の計画

設備の新設、除去等の計画では、会社が有報を出した時点での、重要な設備の新設、拡充、売却などの計画が記載されています。

記載のある場合には、具体的な内容(設備の内容・場所・投資金額など)や資金の調達方法(増資・借入・自己資本など)をチェックしましょう!

 

第4.提出会社の状況

株式等の状況

大株主の状況

大株主の状況からは、「どのような株主構成になっているか?」が読み取れます。

例えば、社長や役員が大株主欄に記載されているほうが、会社を成長させるモチベーションが高い傾向にあります。株価の上昇が自身の利益につながるため株価対策にも積極的だからです。

また、時価総額の低い小型株の場合は、大株主も変動しやすいので過去と比較してみることをおすすめします。

コーポレート・ガバナンスの状況等

役員の状況

役員の状況には、会社を経営している人たちの経歴が記載されています。

社長は創業者なのか?今までどんな経験をつんできた人たちなのか?同族経営か?など、経営陣はどんな人たちなのかを確認しましょう。

株式の保有状況

株式の状況では、会社の保有している株式の内容について記載されています。

具体的にどういう株式を保有しているのか、なぜ保有しているかなどが確認できます。

保有している株の株価が大きく下がると、特別損失が出る場合もあるので、「どんな株を保有しているのか?」を軽くチェックしておくことをおすすめします。 

 

第5.経理の状況

販売費及び一般管理費の明細、売上原価の明細、固定資産の明細など、決算短信では省略されている内容を確認できます!内訳を確認したい場合に、活用してみてください。 

 

さいごに

ここまで有価証券報告書の読み方を紹介してきました。有価証券報告書はページ数が多く読み進めるのは大変ですが、「どこに何が書いてあるのか?」を把握しておけば、必要な情報をすぐに探せます。

また、企業のIR担当へ問合せをしなくても、有価証券報告書を読めば解決することもあるので、疑問があったらまず「有価証券報告書」で調べる習慣をつけてみてはいかがでしょうか。