当ブログでは、これまで「わからないことは企業のIRに電話してみよう」と何度か書いてきました。しかし、慣れないうちは、企業に問い合わせるのはなかなか勇気がいることだと思います。
私も過去、質問するのが面倒で、不明な点をそのままにしていたことがありました。
とはいえ、個人投資家にとってIRへの問い合わせは大きな武器になります。そこで今回は、IRへの問い合わせ方法やコツについて、具体的に紹介したいと思います♪
IRへ問い合わせをするには?
個人投資家が企業のIR担当者に直接会って質問するには、会社説明会や株主総会などのイベントに参加する必要があります。
しかし、イベント開催のタイミングや場所によっては、参加が難しい場合もあります。
そのため、個人投資家が企業のIRへの問い合わせる場合は、電話またはメールで質問する必要があります。それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
メールと電話どちらがいい?
電話で問い合わせをするメリット・デメリットは以下のとおりです。
電話のメリット
- いろいろと聞きたいときにやり取りが楽
- 話のトーンや口調から雰囲気を感じ取りやすい
- 質問の答えがすぐにもらえる
電話のデメリット
- IR担当が不在だと折り返しの電話を待つことになるので、日中電話ができる状態でないとむずかしい
- 直接電話をするため、電話が緊張してしまう人にとってはハードルが高い
メールで問い合わせをするメリット・デメリットは以下のとおりです。
メールのメリット
- いつでも質問できる。平日の夜や休日であってもメールを送れて楽
- 業績が悪い理由など、直接だと聞きずらいこともメールだと聞きやすい
メールのデメリット
- 納得いく回答が得られない場合や色々と質問したい場合に、何度かやりとりをしなければならず手間がかかる
- メールの文面だと、熱量や空気感が伝わりにくい
それぞれメリット・デメリットがありますが、個人的には、質問したいことが少ない場合や、サクッと確認したい場合はメール、色々と深く聞きたいときは電話と使いわけています。
ただ、初心者の方がいきなりIRへ電話するのは、ハードルが高めだと思うので、まずはメールで質問してみるのがおすすめです。
また、企業によっては、電話を廃止して問い合わせをメールに限定しているケースもありますので、その場合はメールを活用しましょう。
自分にあった方法を選ぼう!
問い合わせの流れ
電話で問い合わせをする場合は、企業のホームページの会社概要や、決算書の1ページ目にのっている電話番号にかけましょう。
「個人投資家(もしくは株主)の○○と申します。会社のことで質問したいのですが、IR担当の方はいらっしゃいますか?」などと聞けばつないでもらえます。
メールで問い合わせをする場合は、企業のホームページの問い合わせフォームから質問できます。投資家用のお問い合わせフォームが設置されている場合もあるので、サイトのIR情報をさがしてみてください。
メールの文面は、「個人投資家(もしくは株主)の○○です。今回発表された決算に関して、わからない点があったので質問させてください。【質問~~】お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
という感じで簡単な文面で大丈夫です。
IRに問い合わせるコツは?
抽象的でなはなく具体的に質問しよう!
抽象的な質問だと、IR担当者も答えにくく表面的な回答しかもらえません。そこで、IR担当の方が答えやすいような具体的な質問を考えることが大切です。
業績が良かった理由はなんですか?とおおざっぱな質問をするよりは、決算書などから自分で業績が良い理由を予想をして具体的な質問をしたほうが良い回答がもらいやすいと思います。
そのため、まずは決算書などを見て売上が伸びた理由を予想してみることがおすすめです。
たとえば、ある事業の売上が急増していたとわかったのなら、
急に○○事業で売上が増えた要因はなんですか?この売上の伸びは特需的なのもでしょうか、それとも今後も売上を拡大できそうですか?他社の参入で競争激化する可能性は?季節的な要因はありますか?など聞くことができます。
また、ビジネスモデル的に円安の恩恵を受けて業績が良くなってそうなら、
円安が進行していますが、今回発表された売上のうち、為替変動によるプラスの影響はどのくらい含まれているのでしょうか。仮に、前年と同じ為替レートだったと想定すると増収率はどの程度ですか?海外との取引で使っているメインの通貨はなんですか(どの通貨の為替変動を受けやすいのか)?
など、気になる点を掘り下げて聞いたほうが、自分が欲しい情報を引き出せる可能性が高まります。
ただ、同じように質問しても、フランクに教えてくれる企業もあれば、決算書などに書かれていること以外は教えてもらえない企業もありました。
そのあたりは、問い合わせをしてみないとわからないので、教えてもらえないかもしれないけど、聞くだけ聞いてみようという気持ちで問い合わせしています。
IRに問い合わせる隠れたメリット
IRに問い合わせをすることには、隠れたメリットがあります。
それは、IRに問い合わせをした際の対応で、IR活動をしっかりおこなっている企業なのかを知ることができることです。
たとえば、同じようにメールを送っても、返答をいただける企業ばかりではなく、いつまでたっても返答がこない企業もありました。
個人投資家に対してもしっかり対応してくれる企業は好印象ですが、IRの方とコミュニケーションが取れない企業はどうしても不信感を抱いてしまいます…。
IR活動に力を入れている企業は、投資家に自社の事業をアピールすることがうまいともいえるので、投資をする上でのひとつの判断材料になります。
自社のアピールがうまい企業のほうが株価も上がりやすいかも!?
IRに問い合わせをする際の注意点
IRに問い合わせをする際の注意点も紹介します。
インサイダー情報は答えられない
世間に公表される前に「会社の経営に関する重要事項を口外すること」は禁止されているので、そのような質問は回答してもらえないので注意しましょう。
例えば、「次の決算は良いですか?」「上方修正しますか?」「増配しますか?」などの質問は、知っていてもIR担当者の口から公表できない内容であるため回答を得られません。
【参考】インサイダー情報
- 合併・会社の分割
- 株式の分割
- 新株予約権の発行
- 資本の減少、自己株式の取得
- 新製品や新技術の事業化
- 事業の譲渡、譲り受け
- 業務提携
- 業務の上方修正、下方修正
- 利益の配当
- 債権者による債務免除
- 業務上で発生した損害
問い合わせる前に企業の情報を把握しておこう
質問する前にその会社のことを把握していないと、質問の内容が浅くなってしまい、企業からも表面的な回答しかもらえなくなってしまいます。
そのため、質問がある場合すぐに聞くのではなく、決算短信、決算説明資料、有価証券報告書、ホームページなどに事前に目を通してから質問するようにしましょう。
沈黙期間には返答がもらえない場合も
決算発表日が近づくと、決算に関する問い合わせへの回答を控える企業が多くなっています。(沈黙期間)
沈黙期間がある理由は、決算情報の漏洩を防ぎ公平性を確保するためです。
沈黙期間は決算発表の1か月前くらいからが多いですが、企業によって異なるのでIR情報の「ディスクロージャー・ポリシー」等で事前に確認しておきましょう!
また、沈黙期間にはIRへ決算に関する質問をしても、返答がもらえるのは決算発表後になるので時間がかかる点に注意しましょう。
企業からの返答の取り扱いに注意
企業からの返答を転載することや、第三者への開示はしないことをおすすめします。実際、禁止事項としている企業もあります。
企業の返答の意図とは異なった認識で、SNSや掲示板に書いてしまうと、企業側にも迷惑がかかってしまうので気を付けましょう。
さいごに
ここまで、個人投資家がIRに問い合わせる方法やコツについて紹介してきました。
私自身、決算でわからないことや、ここもう少し詳しく知ってから投資判断をしたいと感じるケースが多く、問い合わせの返答によって買い増す、保有継続する、売却をするといった判断をすることもあります。
個人投資家は、機関投資家より得られる情報が少ないというデメリットがありますが、IRへの問い合わせでそのギャップを少しでも埋められれば良いと思います!