株式投資で成功するためには、決算書の中身を正しく理解することは重要です。実際、決算書の良し悪しは株価の動きにも大きな影響を与えます。
ややこしく感じる決算書ですが、見るべきポイントがわかれば効率良く分析できます♪
決算書とは
決算書とは、四半期ごとの決算内容をまとめた企業の成績表のような資料で、年4回発表されます。
決算書は、各企業ホームページのIR情報や、適時開示情報サービスの「TDnet」などで閲覧できます。それでは、決算書の読み方を順番に見ていきましょう。
決算書の読み方①経営成績
決算書でもっとも重要となるポイントは、1ページ目先頭の経営成績です。
前年同期比と比較して今期の売上や利益がどのくらい増えたのか、もしくは減ったのかがひとめでわかるようになっています。
※△は前期比マイナスを表し、前年よりも業績が悪くなったことを表しています。
とは言え、経営成績の数字を見ただけでは、得られる情報は多くありません。そこで、四半期単体の業績や業績の進捗率にも目をむけてみましょう。
四半期単体の業績は順調か
まずは、四半期単体の業績を確認しておきましょう。
業績の伸びが加速している(または鈍化している)などの変化にいち早く気づくためには、四半期単体の業績を見ることが重要だからです。
決算書の経営成績の業績は、2Q決算なら1Q+2Qの累計、4Q決算なら1Q+2Q+3Q+4Qの累計の業績というように、累計の数値が使われています。
そのため、四半期単体の業績は、最新の決算からひとつ前の決算の数値を引いて算出する必要があります。
面倒な場合や計算ミスが不安な場合は、決算の数値を自動でグラフ化できる銘柄スカウターを活用がおすすめです。
四半期単体の業績を調べたら、気になる点を分析してみましょう。
- 四半期単体の業績は伸びているか:売上や営業利益が伸びているか。四半期単体の伸びが加速していたら、企業に変化が出はじめているサインかも。
- 四半期単体の利益率は伸びているか:売上総利益率や営業利益率が改善しているか。
- 売上の季節性はあるか:四半期ごとの伸びにバラつきがないか?バラつきがある場合、売上に季節性があるのか?
業績の進捗率は順調か
業績の進捗率についても確認しておきましょう。
業績予想進捗率とは、通期の予想に対して四半期決算の業績がどの程度達成しているかをパーセントで表したものです。
売上や利益の四半期累計額÷通期業績予想額(%)で計算できます。
たとえば、例年第2四半期の進捗率が50%程度の企業が50%以上の進捗率となっていれば、超過分だけ業績予想が上方修正される可能性が高まりますね。
一方でたとえ増収増益であっても、第2四半期の進捗率が50%以下であれば、計画値を下振れているので、本当に会社予想を達成できるのか不安視され株価も下がる可能性があります。
経営成績を見る上で、前年同期比の進捗率との比較も大切です。
進捗率を見るときの注意点
・ビジネスによっては繁忙期や閑散期があり、同じ2Qであっても過去の進捗率が40%が平均の企業や70%超えが平均の企業などさまざまです。そのため、調べたい企業の前年同期比の進捗率と比較することが重要です。
・企業の業績予想が上期が減益、通期で増益のような場合、上期の進捗率が悪いのは想定内であり、進捗率が悪くても織り込み済みな場合もあります。
銘柄スカウターを使うと、前期と今期の進捗率(売上高・営業利益・経常利益・当期利益)が算出できます。
決算書の読み方②業績予想・業績修正
つづいて、企業が出す決算短信の業績予想と業績修正を確認しましょう。
本決算は業績予想に注目
第四四半期の決算(本決算)では、多くの企業が来期の業績予想を発表します。
来期の業績予想は、決算書の1ページ目の下段か2ページ目の上段あたりにのっています。※来期予想を開示していない企業もあります。
業績予想や業績修正は、株価に大きな影響が出やすい重要なポイントです。
ただし、企業の公表している数字をうのみにするのではなく、企業の業績予想のクセ(保守的な予想を出しやすい・強気な予想を出しやすいなど)を見抜くことも必要です。
たとえば、期中に上方修正を出す傾向にある企業なら、まずは最低限達成できる数値を業績予想で開示し、具体的な業績が判明した段階で上方修正を出す可能性が考えられます。
クセを見抜ければ、企業の上方修正を期待した先回り投資ができるようになります♪
※マネックス銘柄スカウターの「業績予想修正履歴」を使えば、過去の決算を簡単に振り返れます!
直近の決算と比較して業績予想の修正があるか
決算書では、直近の決算と比較して業績予想の修正があるかにも注目しましょう。
売上10%以上・利益30%以上のずれが生じた場合は、その段階で業績予想の修正(上方修正や下方修正)のIRを出すルールとなっているので修正されたことがわかりやすいと思います。
しかし、修正幅がそれ以下であれば、業績予想修正のIRが出ずに、決算書の業績予想の項目でのみ修正されることもあるので、見逃さないようにしましょう。
業績予想の項目を見ると、修正の有無がかんたんに確認できます!
- (注)直近に公表されている業績予想からの修正の有無 : 有
決算書の読み方➂経営成績等の概要
決算書を読み進めていくと、2ページ目以降は経営方針や経営成績がのっています。
企業の経営を取り巻く外部環境の変化や、今期の業績が良かった(悪かった)理由などについてかかれています。
決算説明資料を作成していない企業の場合の場合は、業績の状況を具体的に知れるのは決算書のこの箇所くらいなのでしっかり目を通しておきたいポイントです!
決算書の読み方④財務諸表
さらに読み進めると、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)がのっています。
財務諸表のダイジェスト版は1ページ目にのっているのですが、財務諸表を読むことでより具体的な数字や内容がわかります。
損益計算書
経営成績については、決算書の1ページ目で書かれていますが、損益計算書を読むことで費用や利益の詳細がわかります。
「売上総利益(粗利)はいくらか?」、「人件費や広告宣伝費などの販売費および一般管理費はどのくらい発生したのか?」など、より深堀りすることができます。
損益計算書をみることで、どのようにして企業が儲けているのかが具体的に見えてきます!具体的な見方は、以下の記事で紹介しています。
貸借対照表
財政状況についても、決算書の1ページ目にのっていますが、貸借対照表を見ることで企業の保有する資産や借金の詳細がわかります。
たとえば、損益計算書上では、売上が良くて絶好調に見える企業でも、実は多額の負債を抱えていて、売上が落ちるとあっという間に資金繰りが悪化するケースもあります。
反対に、成長性がイマイチに見える企業でも、すぐに現金化できる資産をたくさん持っていて、実は優良企業という場合もあります。
貸借対照表を見ることで、企業の安全性をチェックすることができます。具体的な見方は、以下の記事で紹介しています。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は、損益計算書や貸借対照表ではわからない「どのような理由で企業にお金が入ってきて、どのような理由でお金が出ていったのか?」を知るのに役立ちます。
たとえば、損益計算書で利益が稼げているように見えても、キャッシュフロー計算書を見ると、売掛金が回収できておらず、お金は増えていないこともあります。
また、貸借対照表でお金の残高はわかっても、どのような理由でお金が増減したかまではわかりません。
そこで、キャッシュフロー計算書で企業の実態を把握しておきましょう。具体的な見方は、以下の記事で紹介しています。
決算書の読み方⑤財務諸表に関する注記事項
見逃してしまいがちですが、財務諸表に関する注記事項にも目を通しておきましょう。
継続企業の前提に関する注記がないか
倒産リスクの高さは、継続企業の前提に関する注記(疑義注記や重要事象)の有無で確認できるので、最低限チェックしておきましょう。
継続企業の前提に関する注記が書いてある場合は、経営状況がかなり深刻で倒産するリスクが高まっていることを経営者自らが注意喚起しています。
そのため、疑義注記や重要事象がついている会社は、倒産リスクが高いので投資は避けるようにしましょう。
※「継続前提に重要事象」よりも、「継続前提に疑義注記」のほうがより深刻で倒産リスクが高いことを表しています。
会計方針の変更がないか
「会計方針の変更」があるだけで、業績が変わっていなくても利益が増えたように見えてしまう場合があるので注意が必要です。
たとえば、決算の作成方法が日本基準から国際会計基準のIFRSに変わると「のれん償却」が不要になり、業績が変わらなくても見かけの利益が増えたように見えてしまいます。
また、減価償却費の償却方法が定率法から定額法に変わった場合も、業績が変わらなくても見かけの利益が増えたように見えてしまいます。
会計方針はややこしいですが、「本当に業績が良くなったのか」それとも、「会計方針の変更で見かけ上の利益が増えたのか?」では大きく意味合いが違うので確認しておくと安心です。
※決算短信の2ページ目あたりの【会計方針の変更】の有無でも変更があるかは確認できます。
さいごに
今回は、私が決算書を見る際に、重要しているポイントを絞って紹介しました。
決算書のフォーマットはどの企業も同じなので、どこにどんな情報が書いてあるのかを把握できれば、さまざまな企業の決算書を読む手助けになると思います♪
また、決算書を分析する際に使っているマネックス証券の銘柄スカウターは、効率的に企業分析をするのにはかかせません。
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