株式投資の利益には、株を売り買いして利益を出す「売却益」と、株を保有することで利益を出す「配当金」があります。しかし、売却益や配当金以外に利益を出す方法があります。それは、自分の持っている株を貸して金利をもらう方法です。
貸株とは
自分の持っているお金を銀行にお金を預けると、金利がもらえますよね。
同じように、自分の投資している株を証券会社に貸し出すことで金利をもらうことができます。これを「貸株」と言います。貸株で発生する金利は日割り計算ですので、投資期間にかかわらず利用することができます!
貸株のメリットとは?
- 保有株を貸し出すだけで金利がもらえる
- 株式市場の休業日も金利が発生する
- 銘柄によっては、10%を超える高金利もある
- 貸株をしながら株主優待や配当金をもらえる
保有株を貸し出すだけで金利がもらえる
金利は、株を貸している間ずっと発生しますので、株式市場が休場となる土曜・日曜・祝日・大型連休分の金利ももらえます。
さらに貸株金利は、銀行預金の金利と比べてはるかに高金利で、1%以上の金利がつく銘柄数は765銘柄もあります。1%であれば、100万円につき年間1万円の金利がもらえる計算です。※楽天証券の場合:2019年05月07日時点
金利10%を超える銘柄もある
貸株の中にはなんと金利が10%を超える銘柄もあります。
銘柄コード | 銘柄名 | 貸株金利 |
3993 | PKSHATECHNOLOGY | 16.00% |
9820 | エムティジェネックス | 12.00% |
3900 | クラウドワークス | 11.00% |
7779 | CYBERDYNE | 11.00% |
2351 | ASJ | 10.00% |
3692 | FFRI | 10.00% |
3914 | JIG-SAW | 10.00% |
参照:楽天証券 2019年05月07日時点
ただし、高すぎる金利には注意が必要です。貸株金利は、株の需要で決まるので、株を借りたい人=空売りをしたい人が増えるほど貸株の需要は増え、貸株金利も上昇していきます。つまり、貸株金利が高い銘柄は「これから株が下がりそう」と考えている人が多いということでもあります。
そのため、貸株金利が高い銘柄=今後株価が値下がりするリスクが高い銘柄とも言えますので、貸株金利が高いという理由だけで投資しないようにしましょう。
貸株金利は投資のオマケ!銘柄を保有するついでに貸株をもらう程度に考えましょう♪
貸株をしながらでも配当金・株主優待がもらえる
株を貸出すと株主の権利も貸出されることになります。そのため、株を貸出したまま権利確定日を迎えた場合は、株主の権利である株主優待や配当金を受け取ることができません。
しかし、権利確定日前に株を返してもらえば問題なく、株主優待や配当金を受け取れますので安心してください。
ただ、自分で行うと忘れてしまったり、手間がかかってしまいますので、各証券会社のサービスを利用して、株主優待や配当金を自動で受け取れる設定にしておく方法がおすすめです。以下は、楽天証券の貸株設定です。
楽天証券の貸株設定 | 金利 | 配当金 | 株主優待 |
★おすすめ★ 優待・予想有配優先 |
〇 | 配当金 | もらえる |
株主優待優先 | 〇 | 配当金・配当金相当額 | もらえる |
金利優先 | ◎ | 配当金相当額 | もらえない |
「金利優先」に設定すると、権利確定日にも金利が受け取れる一方で、株主優待はもらえません。また、配当金と同額の配当金相当額がもらえます。
「株主優待優先」に設定すると、株主優待の権利確定日に、自動で株式が返却されます。株主優待を提供している銘柄であれば、株主優待と配当金がもらえます。株主優待がない銘柄は、配当金と同額の配当金相当額がもらえます。
「優待・予想有配優先」に設定すると、株主優待や配当金の権利確定日に、自動で株式が返却され、株主優待や配当金を受け取れるようになります。
配当金相当額と配当金は受け取る金額は同額です。しかし、配当金相当額として受け取ると、雑所得・事業所得扱いになります。すると、「株式との損益通算ができない」「総合課税の所得になるため所得税負担が増える」といったデメリットが発生します。
→配当金として受け取れる「優待・予想有配優先」がおすすめ!
自動で、配当金の権利確定日に貸株を返却できるサービスを提供しているのは、現在のところ楽天証券、松井証券、マネックス証券の3社になっていますので、貸株サービスを利用する場合は、この3社の中から選ぶと便利です!
貸株のデメリットとは?
- 証券会社が倒産したら株が返ってこない
- 貸株金利は雑所得になる
- 長期保有による株主優待の優遇が受けられない
- 信用取引口座と貸株口座の併用ができない証券会社もある
証券会社が倒産すると株を失う
通常、証券会社が倒産した場合は、投資者保護基金というところが1人1,000万円まで保護してくれています。
しかし、貸出中の株は、保護の対象外となりますので、万が一利用している証券会社が倒産した場合には、株を取り戻すことができなくなる恐れがあります。
証券会社が倒産することは、めったにありませんが、証券会社が破綻しそうな予兆が少しでも見られたらすぐに貸株の利用をやめることをおすすめします。
貸株金利は雑所得
配当金相当額と同様、貸株金利も雑所得・事業所得になります。
総合課税の所得になるため所得税負担が増える恐れがあります。また、会社員の人であれば、貸株金利などの雑所得が20万円以上になった際には、確定申告が必要です。
長期保有による株主優待の優遇が受けられない
株主優待の中には、1年以上保有しないと株主優待がもらえない会社や、保有年数が伸びると優待内容がランクアップする会社があります。貸株を行っていると、これらの優遇を受けることができなくなってしまいます。
そのため、長期優遇のある銘柄に関しては、「貸株をしない」もしくは「株主優待獲得に必要な単元数分の株は、貸株をせずに残しておく」といった方法で対策を取りましょう。
信用取引口座と貸株口座の併用ができない証券会社もある
信用取引口座を持っていると、貸株サービスが受けられない場合があります。信用取引口座と併用して利用する場合は、楽天証券、SBI証券を利用しましょう。
証券会社名 | 信用取引口座と貸株口座の併用 |
楽天証券 | できる |
SBI証券 | できる |
松井証券 | できない |
マネックス証券 | できない |
最後に
ここまで、貸株の仕組みやメリット・デメリットについて解説してきました。
貸株を利用することで、売却益・配当金以外の収益源を確保することができます。配当のない銘柄でも、貸株を行えば金利をゲットできる点も嬉しいですね。少しでも収益をアップさせたい人は、ぜひ利用を検討してみてください♪
参考:証券会社の貸株サービスを、金利の高さやサービスの充実度などで比較しています。同じ銘柄でも、証券会社よって貸株金利は変わりますので、要チェックです!