今回は、証券会社で保有している株を貸して金利を稼ぐ方法を紹介します。
私自身、証券会社の貸株サービスを活用して金利を受け取っています。そこで、実際にやってわかったメリットとデメリットなどを紹介します!
貸株とは
貸株とは、自分が保有する株を証券会社を通じて機関投資家の参加する貸株市場に貸出すことで、貸株金利を受け取れるサービスです。
貸株サービスは、SBI証券・楽天証券・松井証券・マネックス証券・GMOクリック証券など、多くの証券会社が提供しています。
参照:SBI証券
貸株のメリット
それでは、貸株のメリットを紹介します。貸株のメリットは以下のとおりです。
株を貸し出すだけで金利がもらえる
貸株のいちばんのメリットは、株を貸し出すだけで貸株金利が受け取れることです。
もし、貸株金利が1%の銘柄を100万円保有していたとすると、貸株をするだけで年間10,000円の金利を受け取ることができます♪
参照:SBI証券
なお、これは1年間、株式の評価額や貸株金利の変動がないと仮定した場合です。
貸株金利は、以下の計算式で計算されるため、実際に受け取れる金利は、保有株の評価額や貸株金利によって毎日変動します。
- 貸出株数×終値×貸株金利(%)÷365日=1日に受け取れる金利
上記の計算式からもわかるように、保有株の値上がりや買い増しで「評価額が増える」もしくは、「貸株金利が上がる」と受け取れる貸株金利が増えます。
反対に、保有株の値下がりや売却で「評価額が減る」もしくは、「貸株金利が下がる」と受け取れる貸株金利が減ります。
株式市場の休業日も金利が受け取れる
貸株金利は、株を貸している間ずっと発生しますので、株式市場が休場となる土曜・日曜・祝日・大型連休分の金利ももらえます!
また、貸株金利は1日貸出すだけでも受け取れるので、投資期間の長さにかかわらず活用することができます♪
金利10%を超える銘柄もある
貸株金利は、多くの証券会社で最低でも0.01%と銀行預金の金利と比べてはるかに高金利です。
また、貸株金利が1%以上つく銘柄数も多く、中には金利が10%を超える銘柄もあります!
ただし貸株金利が高すぎる銘柄は、機関投資家が高い金利を支払ってでも株を借りたい(空売りをしたい)と思っている裏返しでもあります。
そのため、高い貸株金利だけが目的で投資すると、株価自体が値下がりして貸株金利以上に損をするおそれがあるので注意しましょう。
貸株金利だけで銘柄を選ぶのは危険!
株主優待を受け取る設定もできる
株を貸出すと株主の権利も貸出されることになります。そのため、株を貸出したまま権利確定日を迎えた場合は、株主優待を受け取ることができません。
ですが、株主優待の権利をもらえる権利付き最終日までに貸株を解除して、権利確定日あとに貸株を再開すれば、問題なく株主優待を受け取れます。
証券会社の貸株では、株主優待の権利を自動的に獲得できるサービスが用意されているので、あらかじめ設定をしておくだけで優待が受け取れます!
株主優待を受け取る設定にするだけでOK!
貸株のデメリットと注意点
つづいて、貸株のデメリットを紹介します。メリットだけでなく、デメリットも理解した上で貸株を利用するか検討してください。
証券会社が倒産したら株が返ってこないおそれがある
通常、証券会社が倒産した場合は、投資者保護基金というところが1人1,000万円まで保護してくれています。
しかし、貸出中の株は、保護の対象外となりますので、万が一利用している証券会社が倒産した場合には、株が返ってこないおそれがあります。
証券会社が倒産することは、めったにありませんが、証券会社が破綻しそうな予兆が少しでも見られたらすぐに貸株の利用をやめることをおすすめします。
また、ひとつの証券会社ですべての資産を貸株に使うのはリスクが高いので、「資産の一部を貸株にする」、「証券会社を分散して貸株をする」など、リスクをおさえる工夫をすることをおすすめします!
貸株金利が雑所得になる
貸株金利は、雑所得(もしくは事業所得)になります。
そのため、貸株金利などの雑所得が年間20万円以上になった場合には、確定申告が必要です。(会社員の場合)
また、総合課税の所得になるため、貸株金利を受け取ったことで、かえって所得税負担が増えるおそれがあります。
とくに、「貸株金利が年収と合算されることで税率が上がらないか?」は注意したほうが良いポイントです。
ただし、貸株は日割り計算かつ、全部貸出、一部貸出す、貸出さないを銘柄ごとに選択できるので柔軟な対応ができます。
そのため、自分が貸株でいくら以上稼ぐと損をするのかを計算して、その金額を超えないように調整できれば、あまり問題ないと思います。
配当金が配当金相当額になる
貸株中は、配当金を配当金相当額として受け取ることになります。
配当金相当額と配当金は受け取る金額は同額です。しかし、配当金相当額として受け取ると、「雑所得(もしくは事業所得)になる」、「株式との損益通算ができない」といったデメリットがあるので注意が必要です。
ただし、優待と同様に配当の権利をもらうタイミングにで貸株を解除すれば、株主の権利が戻ってくるので、配当金として受け取れます!
銘柄数が多く管理が面倒な場合は、配当金の権利確定日に貸株を自動解除できる設定がある証券会社(楽天証券、松井証券、マネックス証券)の活用もおすすめです。
NISA口座の株・単元未満株は貸株対象外
貸株ができるのは、特定口座か一般口座で保有している単元株やETF・REITに限ります。
そのため、以下の金融商品は貸株対象外となります。
- NISA口座で保有する金融商品
- 投資信託
- 単元未満株(100株に満たない株式)
ただし、単元未満株に関しては、マネックス証券のみ貸株対象です。マネックス証券の「ワン株(単元未満株)」は、単元株式と同様に貸出すことができます!
また、米国株式・米国ETFに関してはSBI証券のみ貸株対象です。SBI証券であれば、2,000以上の米国株や米国ETFを貸し出して金利を受け取ることができます。
長期保有による株主優待の優遇が受けられない
株主優待の中には、1年以上保有しないと株主優待がもらえない会社や、保有年数が伸びると優待内容がランクアップする会社があります。
貸株をおこなっていると、長期継続保有と認定されず優遇を受けることができなくなってしまいます。
貸株は、どの銘柄を何株貸出すかを細かく設定ができるので、長期優遇のある銘柄は、「貸株をしない」もしくは、「株主優待獲得に必要な単元数分の株は、貸株をせずに残しておく」といった方法で対策できます!
結局貸株はやるべき?貸株がおすすめな人
小型グロース株に投資している人におすすめ
貸株は、小型グロース株を保有している人と相性の良いサービスです。
小型のグロース株は、配当金や株主優待がない銘柄が多く、株価が上がらないと一切儲からないなんてこともザラです。
しかし、貸株は小型グロース株のようにリスクの高い銘柄ほど、金利が高くなる傾向にあり、中には高配当株並みの金利がつく銘柄もあります!
逆に、貸株金利が低い大型株やバリュー株を中心に保有している人は、貸株をやるメリットはあまりないかもしれません。個人的には、0.1%程度の貸株金利のために株を失うリスクを負いたくないと思うからです。
やはり、リスクとリターンを考えると1%程度は貸株金利がつかないと積極的に活用したいと思えません。
そこでまずは、保有株の貸株金利を調べてみてから、貸株をやるか検討してみるのがおすすめです。
※貸株金利は、証券会社の口座にログインすることで確認できます。証券会社によって、貸株金利は証券会社によっても異なるので、複数の証券口座を持っていると貸株金利の比較がしやすくなります。
私の貸株活用例
私の場合は、保有株や過去に保有していた銘柄に1%以上の金利がもらえるものが多かったので、魅力を感じ貸株をはじめました。
貸株は、最初の設定だけおこなえば、あとは放置でOKなので不労所得のような感覚で受け取れます。
また、保有銘柄の貸株金利の動向を把握することで、株を売るタイミングをはかる目安としても役立っています。(保有株の貸株金利が上がる→空売り需要が高まっている証拠→今後株価が下がるリスクが高いから警戒しようなど)
さらに、貸株のリスクをおさえるために、貸株金利1%以上の銘柄かつ、資産の3割程度を目安に証券会社を分散して活用するようにしています。
貸株のリスクを十分理解した上でやる分には、アリだと思います!
↓各証券会社の貸株サービスについては、以下の記事で比較しています♪