今回は、証券会社のアナリストが個別銘柄に対しておこなう「レーティング」について紹介します。
レーティングは、株価を動かす材料となる場合もあるので、知っておくと役立ちます♪
株のレーティングとは
株式投資におけるレーティングとは、証券会社のアナリストが個別銘柄に対し、一定期間における値上がり・値下がりの可能性などを予想する投資判断のことです。
それぞれのアナリストが担当している企業について、投資評価をおこない、投資すべきかどうかを発信しています。
評価基準は証券会社で変わる
評価基準は証券会社によって変わり、3段階評価から5段階評価で格付けをします。
以下は、証券会社のレーティングの例です。
SMBC日興証券 | アウトパフォーム・中立・アンダーパフォーム |
野村証券 | Buy・Neutral・Reduce |
みずほ証券 | 買い・中立・アンダーパフォーム |
岩井コスモ証券 | A・B+・B・B-・C |
いちよし証券 | 買い・中立・売り |
JPモルガン証券 | Overweight ・Neutral・Underweight |
また、証券会社ごとに、評価の定義も異なります。
たとえば、最上位の評価で比較しても、以下のように証券会社によってまちまちです。
- SMBC日興証券(アウトパフォーム)…同社のアナリストが予想する担当業種のカバレッジ・ユニバースの投資リターンが市場平均を上回ると判断する場合
- 野村証券(Buy)…12ヵ月以上の目標株価が現在の株価を15%以上上回ると判断する場合
- 岩井コスモ証券(A)…半年以内に株価パフォーマンスがTOPIXを15%程度上回ると予想する場合
- いちよし証券(買い)…20%超割安と判断する場合
レーティングは株価に影響する?
短期的には材料視される
レーティングでは、同時にアナリストによる目標株価も発表されます。
そのため、短期的には材料視され、強気な内容であれば、レーティングが発表された日以降の株価も上がることもあります。
ただし、レーティングが多く発表されるのは企業の決算発表シーズンから1~2週間後あたりです。
レーティングが出る頃にはすでに決算の内容が株価に反映され済みであり、レーティングの内容が良くても織り込み済みの可能性が高い点には注意が必要です。
新規カバレッジ銘柄に注目!
株式市場には、約3,700社もの企業が上場しているので、証券会社がフォローできる銘柄は限られます。
スタンダード市場やグロース市場に上場している中小型株の場合は、アナリストがフォローしていない銘柄も多いのです。
実際、中小型株に投資していると、レーティングがついてない企業は、投資家からの注目度が低く、業績が良くても株価が反応しずらいように思います。
そんな中で新しくアナリストがレーティング対象銘柄(新規カバレッジ)として、目標株価や業績予想などを発表すると、投資家から注目され株価も評価されやすくなります。
とくに、今までアナリストが注目していなかった中小型株で強気なレーティングや目標株価が発表されると、株価へのインパクトも大きくなります!
アナリストが新たにフォローした銘柄に注目!
レーティングの注意点
買い推奨になりやすい
アナリストによるレーティングは、買い推奨になりやすい点には注意が必要です。
証券会社は、アナリストが所属する調査部門のほかにも、企業の資金調達の支援やM&Aに関するアドバイスをおこなう投資銀行部門のビジネスを手掛けています。
投資銀行部門では企業が顧客になるので、自社のアナリストがネガティブな評価をして企業に嫌われると証券会社の業務に影響がでるリスクがあります。
とくに、大手企業ほど、証券アナリストの評価は甘くなりがちな傾向にあるので、うのみにしすぎないようにしましょう!
任天堂のレーティング分布 (マネックス証券 銘柄スカウターより)
おすすめしたいレーティングの調べ方
それでは、おすすめのレーティングの調べ方について紹介します。
先ほど紹介したように証券会社は独自の基準でレーティングを公表しています。そのため、多くの証券会社の評価をすべて調べてフォローをするのは大変です。
そこで、各社のレーティング評価を集計してひとまとめにした情報ツールの活用がおすすめです。
私は、マネックス証券の「銘柄スカウター」を活用して、レーティングを調べています。
銘柄スカウターの情報は、主要証券会社19社のアナリストの調査レポートに掲載されているレーティングや目標株価をデータベース化して算出されています。
個別銘柄のレーティングや目標株価を調べる
銘柄スカウターは、マネックス証券にログインして調べたい個別銘柄のページを開き、銘柄分析をクリックすると使えます。
「アナリスト予想」を選択すると、主要証券会社のレーティングや目標株価を集計した数値などが確認できます。
レーティング分布は、評価基準が異なる各証券会社のレーティングを1~5点の5段階に数値変換し算出したものです。もとも強気の判断が5点、もっとも弱気の判断が1点です。
アナリストが強気なのか、弱気なのかを視覚的に確認できて便利です。
また、目標株価の最新値や乖離率も簡単に確認できます。
各証券会社のレーティング情報が集計されてて便利♪
各々のレーティング情報を確認する場合は、「業績ニュース」→「レーティング」を選択すると一覧で表示されます。
最新のレーティング一覧情報を調べる
銘柄スカウターのトップページ→「業績ニュースのレーティング・目標株価」→を選択すると、すべての銘柄を対象とした最新のレーティング情報も確認できます。
細かい条件設定ができるので、業種やサプライズ度(晴れ・曇り・雨)でのスクリーニングもできます。
さいごに
ここまで、アナリストのレーティングについて紹介してきました。
レーティングをうのみにしすぎるのは良くないですが、プロの投資判断を知る意味では役立ちます。
私の過去の経験からも、業績が良いのに注目度が低く株価が上がらないような銘柄は、強気なレーティングきっかけで株価が上がりだすこともありました。
参考程度ではありますが、保有株のレーティングだけでもチェックしておいて損はないと思います♪