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値上げで売上や利益はどうなる?株価への影響は?

 

今回は、企業の値上げが売上や利益に与える影響について解説します。

企業が続々と値上げを発表していますが、値上げが業績に与えるインパクトはどのくらいなのでしょうか。

値上げで売上・利益はどうなる?

値上げによって、売上や利益はどうなるのでしょうか。

値上げ成功で利益は大きく増える

たとえば原価6,000円の商品を10,000円で売ったとします。このときの売上総利益(粗利)は4,000円です。

  • 販売価格10,000円
  • 原価6,000円
  • 売上総利益4,000円

つぎに、この商品を2,000円値上げして販売すると、売上総利益は6,000円となります。

  • 販売価格12,000円
  • 原価6,000円
  • 売上総利益6,000円
値上げ後も販売数が減らなかった場合

これをふまえて、今度は同じ商品を100個販売したとします。値上げ前(単価10,000円)は、売上総利益は40万円です。

  • 売上100万円
  • 原価60万円
  • 売上総利益40万円

つぎに、値上げ(単価12,000円)をして販売すると以下のようになります。

  • 売上120万円
  • 原価60万円
  • 売上総利益60万円

販売数が変わらなければ、売上と売上総利益が大きく増加することがわかります。とくに、「売上総利益をどれだけ稼げるか?」は、営業利益や純利益の額にも大きく影響します

そのため、値上げをしても客離れしにくいビジネスは、経営をする上で大きな強みとなります。

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値上げせずに販売数が増加した場合

ちなみに、値上げをせずに、販売数量が100個から120個に増加した場合の売上と利益はどうなるのでしょうか。

  • 売上120万円
  • 原価72万円(6,000円×120個)
  • 売上総利益48万円

先ほどと売上は同じ120万円ですが、売上総利益は値上げ時の60万円よりも少ない48万円となります。

売上原価は、『売れた商品×仕入れ原価』で計算されるので販売数が増えれば売上原価も増えます。

そのため、値上げによる売上増はダイレクトに利益増へつながりますが、販売数増による売上増加は原価の増加をともないます

結果、値上げによる利益増よりもインパクトは小さくなります。

女の子
スミレ

同じ売上増でも、値上げによる増加のほうが利益増につながる!

値上げで販売数が減った場合

このように、値上げは販売数を維持できれば売上・利益ともに増える効果的な施策です。しかし、実際は値上げによって販売数が減るケースのほうが多いと思います。

値上げしたことで、販売数が減ったケースも考えてみます。仮に、販売数が100個から80個へ下がったとします。

  • 売上96万円(12,000円×80個)
  • 原価48万円(6,000円×80個)
  • 売上総利益48万円

値上げしたことで、販売数は減ったものの、単価が上がっているので売上高は若干の減少にとどまっています。

一方で、販売数が減ったことで売上原価も減るので、この場合の売上総利益は値上げ前よりも増加しています。

値上げしたことで販売数が減ったものの、企業のキャッシュフロー的には利益額が増えて改善しています。

値上げで大幅に販売数が減った場合

ただし、値上げによって売上が大幅に減ってしまえば、売上と利益も減ってしまいます。

もし値上げしたことで、販売数が60個と大幅に落ち込んだとすると、売上も減って、利益も減っています。

  • 売上72万円(12,000円×60個)
  • 原価36万円(6,000円×60個分)
  • 売上総利益36万円

値上げで客離れがおきやすい企業の場合は、値上げによって売上減・利益減のリスクがあるので特に慎重に値上げをおこなう必要がありそうです。

 

値上げしても客離れしにくい企業とは?

では、値上げしても客離れしにくいのはどんな企業でしょうか。

たとえば、ディズニーランドや任天堂スイッチのゲームのように、商品やサービスのブランド価値が高く替えのきかないものに関しては、値段が上がっても買う人が多いのではないでしょうか。

また、会計ソフトや人事労務ソフトのようなサービスは、使えば使うほどデーターが蓄積していくので、他社への乗り換えるための手間や時間、心理的な負担が大きく、値上げしても継続利用されやすい傾向にあります。

ほかにも、業界シェアを独占してる企業や、業界の大手企業は価格決定力があるので値上げできる強みがあります。

女の子
スミレ

日本で値上げできるのは大きな強み!

 

客離れするリスクのある企業とは?

反対に、客離れしやすいのは、どんな企業でしょうか。

たとえば、お菓子やジュースなど代替え品が多い商品や、必ずしもなくても困らないものは、買い控えられたり、ほかの安い商品に切り替えられるおそれがあります。

また、安さが魅力の飲食チェーンも、値上げによって魅力が薄れ競合他社に顧客を奪われるかもしれません。

値上げでどのくらい客離れがおきるかの判断はむずかしいですが、値上げしても「その商品を買いたいか」、「サービスを使い続けたいか」を、自分目線で考えてみるといいと思います♪

 

値上げによる株価への影響

では、値上げによる株価への影響はどうなのでしょうか。

株式市場では、値上げによって売上の増加利益率の改善が期待されるので、基本的にはポジティブな評価をされます。

ただし日本で値上げする場合は、コストが増えた(円安や、原油価格・光熱費・原材料費・物流費の高騰など)から値上げするといった理由がないと値上げしにくいのが現状です。

そのため、値上げした時点では、コスト増分の原価が増えるので、利益に表れずらいかもしれません。

とは言え、時間の経過とともに原価が落ち着く可能性は十分あります。

さらに、原価が下がったからといって、値下げする企業はまれで、ほとんどの場合値上げした価格を維持します。

つまり、原材料価格の高騰が収まればコストも下がって、値上げ分の利益増大で粗利率の向上が見込めます。

女の子
スミレ

上方修正や増配で株価の上昇も期待できる!

値上げの理由は、企業によってさまざまです。

そこで、企業が値上げした理由を調べて、その原因が落ち着くタイミングを待つのも手です。

 

さいごに

ここまで、値上げによる売上と利益への影響について紹介してきました。

企業の値上げに関しては、「コスト増が重くのしかかって切羽詰まった状況での値上げなのか?」それとも、「値上げラッシュに便乗して値上げしているだけなのか?」など、読めない部分も多く業績に与える影響を正確に予想することは困難です。

それでも、値上げによる影響を理解しておき、「売上や利益にどの程度プラスになりそうか?」を大まかにでも把握できれば業績予想もしやすくなると思います♪