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成長株が「黒字化」するタイミングでの投資がおすすめ!その理由とは?

 

今回は、成長株が「赤字」から「黒字化」するタイミングを狙って投資がおすすめな理由について解説します。

先行投資期にある銘柄ではなく、先行投資が一巡して利益回収期に入りそうな銘柄を買うと効率的に投資ができます♪

成長株への投資について

企業が売上を拡大するためには、設備投資や人件費、広告費などの販売管理費をかける必要があります。

成長企業の場合は、売上拡大を優先するため販売管理費の額も大きくなります。

そして、稼いだ売上総利益以上に販売管理費をかけると、営業利益は赤字になります。

赤字のあいだは、投資家も割安か割高なのかの判断がしずらくなります。

特に、個人投資家がメインとなる小型株の場合、赤字だと中々評価されずらく、せっかく投資しても株価が長期間低迷するリスクがあります。

女の子
スミレ

赤字のうちは、割安感をはかる「PER」も使えない!

 

赤字であっても、売上成長が30%~40%と驚異的な銘柄、機関投資家が買える時価総額の大きい銘柄、テーマ性があって注目度の高い銘柄等であれば、「PSR」などで評価されることが期待できます。

 

黒字化するタイミングで投資するメリット

投資家に見向きもされてないうちに買ってしまうと、 値上がりするまでひたすら待つことになり、投資効率が悪くなってしまいます。

このような株が上がるタイミングとして期待できるイベントのひとつが、「黒字化」です。

効率的に投資できる

赤字の成長企業は、いつまでも赤字というわけではありません。

売上が拡大して、損益分岐点を超えてくれば利益がしっかり出せるようになります。

そうなれば、赤字というだけで敬遠していた投資家からの買いも期待できますし、PERやROEなどのスクリーニングでもヒットするようになります。

株主還元が期待できる

黒字化することで、

  • 配当金を出す
  • 株主優待を新設する
  • 自社株買いをする

といった、株主還元策が期待できるようになります。このような施策は、株価にとってもポジティブです。

ほかにも、黒字化することでマザーズやスタンダード市場の企業がプライム市場へ昇格条件を満たせる可能性もでてきます!

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税金の支払いが少なくて済む

赤字企業が、黒字化した直後は、税負担が軽く純利益が多めに出やすい傾向にあります。

通常、上場企業であれば、利益に対して30%程度の法人税がかかります。

そのため、税引き前当期純利益が10億円であれば、30%を引いた7億円が当期純利益として残ります。

一方で、赤字企業が黒字化した場合、会計上の法人税負担を軽くすることができます。

法人税の計算では、過去の赤字と将来の儲けを相殺できるルールがあるからです。

そのため、黒字化した場合、過去の赤字額を差し引いた金額に対して課税されることになります。※過去の赤字を繰り越すことを「繰越欠損金」と呼びます。

簡単に言うと、繰り越している赤字が10億円ある企業が、今期30億円の黒字だったとすると、30億円ではなく、30億円-10億円=20億円が課税所得となるイメージです。

これにより、10億円分×税率30%=3億円の税金を減らすことになります。

※実際は、資本金の金額や欠損金が発生した年度によって控除できる繰越欠損金の限度額は変わります。また、繰越できる期限が過ぎたら使えなくなります。

女の子
スミレ

株式投資で言う「損益通算」のようなイメージ!

 

このような理由から、赤字が続いていた企業であれば、税負担が軽く、純利益が多めに残りやすくなります。

ただし、一度控除に使った繰越欠損金を再び使うことはできないので、節税効果は一時的なものです。

とは言え、赤字から黒字化したインパクトに加え、黒字化直後の税負担が軽く純利益が多めに残れば、業績やPERの見栄えがさらに良くなります

 

成長株の黒字化を狙うためのポイント

上記のような理由から、黒字転換することで、株価も上がりやすくなります。

では、黒字化する成長株をどのように見つければいいのでしょうか。

中期経営計画や決算説明資料からヒントをさがす

黒字化の見通しを早めに察知するのにおすすめなのが、決算説明資料や中期経営計画、経営者のインタビュー記事などからヒントをさがすことです。

成長企業の場合、今後の経営目標を公開しているケースも少なくありません。

株価は、黒字化の予兆が見えた段階で上がりだすこともあり、実際に黒字化した後では織り込み済みであるケースもあるので、はやめに会社の意向を知っておいて損はありません。

ただし、あくまで経営目標なので、うのみにしすぎず、足元の業績を参考にして「本当に達成できるのか?」を見極める必要はあります。

四半期業績で変化をとらえる

成長株に投資する場合、業績は四半期ごとの変化に注目するのが基本です。

通期の業績で見ると、足元の業績の勢いを把握することができません。

また、通期で黒字化するのを待つよりも、四半期単体で黒字化するほうが早いので、なるべく早く察知するためにも、四半期単体の業績に注視するのがおすすめです。

銘柄スカウターを使うと、簡単に四半期ごとにチェックできます♪

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売上総利益が増えているか

営業利益が黒字化するためには、「売上総利益率」を稼ぐことが重要です。

売上総利益は、「売上高」から、商品を仕入れたり、サービスを提供する際に直接かかった費用である「売上原価」を引いた利益のことで粗利とも呼ばれます。

売上総利益をしっかり稼げていれば、販売管理費をおさえることで営業利益を出すことができます。しかし、売上総利益が少ないうちは、販売管理費をおさえたとしても、十分な営業利益を出すことが期待できません。

つまり、営業利益を出すためには、売上総利益を増やすことが重要です。

そのため、赤字企業の決算書を見る際には、

  • 売上総利益が年々増加しているか
  • 売上の伸びと同程度もしくは、売上の伸び以上に売上総利益が伸びているか

などに注目してみましょう。

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黒字化後の注意点

黒字化後に注意点についても紹介します。

営業利益が黒字化しているか

黒字化については、経常利益や純利益ではなく、本業の利益である営業利益が黒字化していることが重要です。

とくに、特別利益がのってたまたま純利益が黒字化したなどは、一時的な利益で継続性がないので気を付けましょう。

黒字化を維持できそうか

赤字企業のうちは、赤字が拡大したり、縮小したりしてもそこまで株価にインパクトはありません。

しかし、黒字化したあとは、「黒字化を維持できているか?」や「四半期ごとの営業利益が増えているか」などが株価に影響するようになります。

よくあるのが、顧客獲得のために広告宣伝費を大きくかける、人材を多く採用する、赤字企業を買収するなどで、再度赤字に転落するケースです。そうなると、嫌気され株価が大きく下がることもあります。

とくに、営業利益の額が小さい小型株は、販管費が増えるとすぐに赤字に転落するケースもあります。

黒字化を維持できるかを、正確に見通すことは困難なので、過度な集中投資は危険です。

 

さいごに

ここまで、成長株が「黒字化」するタイミングでの投資がおすすめな理由について紹介してきました。

私自身、気になる会社が先行投資中で赤字であったり、利益がごくわずかしか出ていない場合には投資を控え、利益回収期に入りそうな頃合いを見計らって投資することが多いです。

ただ、はやめに株価が上がることもあるので、多少時間はかかりますが、黒字化が期待できる半年から1年くらい前には投資するようにしています♪