株式投資では、利益確定をして初めて利益として手元にお金が入ってきます。投資法や投資家によって利益確定の考え方は様々ですが、実際投資をしてみると「利益確定」が難しい事に気が付きます。
私自身、経験や書籍などから学んだ事を元に、今の利益確定方法に落ち着いたので、今回は利益確定の一例としてその方法を紹介します。
利益確定のタイミング
私は、株式投資の手法を投資書籍や個人投資家のブログなどから学ぶ事が多いのですが、成功している中長期投資家が推奨している利益確定のタイミングは、大まかに以下の3つです。
利益確定のタイミング
- 会社の業績が鈍化し、将来の成長見通しが悪くなった
- 株価が上昇して割高になった
- 他に魅力的な投資対象が見つかった
以上の条件で利益確定できれば効率的な運用が出来ますが、これらは簡単そうに見えて意外と難しいのです。
理屈では分かっていても、実際は中々上手く行かないなあ。
利益確定が難しい理由
利益確定が難しいと感じる理由は、以下の2点にあると考えています。
1.株価は業績よりも先行する
まず、「業績が鈍化してから売る」と利益確定が遅れてしまう場合があります。
その理由は、株価は業績よりも先行する傾向があるからです。業績から売り時を判断する事も出来るのですが、株価の天井を知らせるサインはテクニカル情報からの方が早く読み取れる事もあるので、業績に反映される頃には高値から大分下落していたなんて事も起こります。
参考記事:以下の記事で、中長期投資であってもテクニカル分析を使う事で効率的に売買出来るという事を紹介しています。
また、業績の鈍化が一時的な場合、次期で回復する事もあります。
このような場合、「一時的な鈍化なのか?」それとも「長期的に成長が望めないのか?」の判断を足元の業績だけですぐに見極める事は難しいのです。
2.株価が割高になると欲がでる
続いて、感情的な面も利益確定を難しくしています。
株価が大幅に上昇すると、「これから株はもっと上がるだろう」と言う強気な声や、その会社に対する肯定的な意見によって、先行きが明るい雰囲気が広がります。特に株価の天井付近では多くの人がその株の将来性に強気な意見を持っています。
すると、自分自身も市場の雰囲気に飲み込まれ、
- こんな所で売ってしまうのは勿体ないのではないか?
- まだまだ株価は上昇するのではないか?
- 出来るだけ高値で売りたい!
などという欲が出てしまいます。
皆の期待が高まる中で自分の欲を律して利益確定をする事は容易ではない…。
後で振り返ると、割高だったと感じるのですが、当事者でいるとその場で気付けない事もあります。その結果、利益確定が遅れてしまうのです。
少しずつ利益確定する
では、どうすれば良いのでしょうか? 利益確定のヒントを、澤上篤人さんの書籍「これが長期投資の王道だ」で見つける事ができました。
売るのは50%~70%まで
澤上さん曰く、上昇相場を出来るだけ高値まで引っ張って、より大きな投資収益を出そうと欲をかくと、高値を追いかけたまま天井を迎える事になる。そして、どこかの株価の下落局面に遭遇して、大慌てで売り逃げることになり暴落相場を生む。と言います。
では、どうすれば良いのかと言うと、
- 長期で応援すると腹を固めた銘柄をいくつか選んでおき、株価が大きく上昇していくにつれて、応援企業の株式を少しづつ売っていく。
- 保有株の50%~70%を利益確定の売りに出す。まだ応援している会社だから、残りの30%~50%はそのまま保有を続ける。
- その会社が、売り叩かれる暴落相場や株式相場の低迷期には応援買いをする。
これで投資の基本である「安い所で買っておいて、高くなるのを待って売る」が出来てしまう。と言います。(p285~p291の要約)
長期投資でも手入れは必要
私は過去、一度買ったら持ちっぱなしにしてしまう事が多かったです。
上手く上昇相場に乗り株価が大きく上昇した場合、大きなリターンがある事が魅力ですが、思い返してみると、一度高値を付けた後株価が半年~数年間低迷し、逆に効率が悪いという事が多々ありました。
今思えば長期投資をいい訳にして、株価の下落を見て見ぬ振りをしていた気がします。
そこで、過去の失敗を生かして、株価が高値を付けた後に低迷するリスクを抑える為に以下の方法が有効であると考えています。
澤上さんの言う様に、応援企業であっても
- 大きく上昇したら50%~70%を少しずつ売る
- 応援している会社が大きく売られたら、買って応援する
- 高値や安値を追い求めすぎない
上記を意識しながら保有株の手入れをする事で、下落リスクを抑えた効率的な投資が出来ると考えています。
私自身の過去を振り返ってみても、2倍程度の株価上昇なら予想通りに上手くいくことが多かったのですが、その先の5倍10倍を狙おうとすると中々上手くいかず資金効率が悪くなることが多かったです。
この経験から、高値を追い求め過ぎずに、自分が見通しを立てられる株価を達成したら少しずつ売る方針に変えました。
また、経験上全ての株を売ってしまうと、その会社に対する興味が薄れてしまう事が多かったので、応援したいと思える内は一部を保有し続け買いのチャンスをゆっくり待つという姿勢が良いのではないでしょうか。
参考にした書籍
今回の記事では以下の書籍「これが長期投資の王道だ」を参照しています。
投資に関するヒントが多く載っているので、自分の投資方法を見つめ直すきっかけとなりました。長期投資家の心構えも学べるので、株価に翻弄されそうになった時読み返すと心が落ち着きます。