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「限界利益率」の高さに注目!儲かりやすい会社の収益構造とは?

 

「限界利益率」の高さに注目!儲かりやすい会社の収益構造とは?

会社を続けるためには利益を残すこと大切であり、利益を伸ばす為には売上が伸びている事が重要です。

しかしながら、「売上」さえ伸びれば「利益」が後から付いてくるという訳ではないので注意が必要です。

そこで今回は、利益の出やすい収益構造の会社かどうかを把握する為に重要な「限界利益」について掘り下げていきます。

限界利益とは?

限界利益」とは、売上から変動費を引いたものを指します。  

  • 「限界利益」=「売上」−「変動費」

「変動費」は売れば売るほどかかる費用を指すのですが、「固定費」との違いは以下の通りです。

固定費」:人件費・家賃・光熱費・経理や人事などの間接部門・広告宣伝費(広告を出しても売れない場合もあるから)など会社の売上に関係なく一定額かかる費用を指します。

変動費」:材料費・梱包代・商品を客へ送る場合の送料など会社の売上の増減に比例してかかる費用を指します。

固定費と変動費

限界利益率が高いほど儲けやすい

先ほどの計算式(限界利益=売上−変動費)を参考に、5000円の洋服を売った場合の「限界利益」を考えてみましょう。

定価5000円の洋服を販売した場合。材料費が2000円・梱包する紙袋に100円・さらに客に配送する送料で400円かかった場合の「限界利益」は、

  • 売上5000円変動費2500円(材料費2000円+紙袋100円+送料400円)=限界利益2500円

限界利益率の図

この場合の限界利益率(限界利益÷売上×100)は2500円÷5000円×100=50%となります。そして、この限界利益率が高ければ高いほど会社は儲かりやすくなるのという点がポイントです。 

「割引」して売上を伸ばすとどうなるの? 

限界利益が高いほど会社が儲かりやすいのですが、割引をして売上高を増やすと利益はどのように変化するのでしょうか。

実際、アパレルのお店はよく割引セールをしていますね。では、仮に20%値引きして商品を販売する場合、いくら売上を増やす必要があるのでしょうか。

先ほどの定価5000円の洋服の例で比較してみます。

女性アイコン

4000円×1.25=5000円だから、20%値下げしても売上が25%増加すれば良い気がするけど、実際にはどうなんだろう・・・?

 

  • 定価で販売した場合

売上:5000円 変動費:2500円(材料費2000円+送料400円+包装代金100円)

限界利益額は5000円−2500円=2500円/限界利益率は2500円÷5000円=50%

  • 20%割引で販売した場合

売上:4000円(20%引きの値段) 変動費:変わらず2500円(材料費2000円+送料400円+包装代金100円)

限界利益額は4000円−2500円=1500円/限界利益率は1500円÷4000円=37.5%

限界利益率の比較

上記の2つを比較すると、以下の事が分かります。

  1. 20%引きで販売しても変動費は変わらない
  2. 20%引きで販売すると限界利益は変わる
  3. 割引した事で限界利益率が50%→37.5%に低下した。

このように割引しても変動費は変わらないので、割引した分だけ手元に残る利益が少なくなってしまいます

定価で販売した場合、ひとつ2500円の限界利益なので100着売れれば限界利益額は25万です。

しかし、20%引きした場合はひとつ1500円の限界利益ですから、25万円の限界利益を生むには167着売り上げる必要があるのです。

つまり、売上が1.67倍に増えても利益が変わらないという事になります。

女性アイコン

この場合、売上が25%増加しただけでは利益が大きく減ってしまいます

売上が増えているのに儲からないのは利益率に原因があり、限界利益率が大幅にダウンする事が「安売りする怖さ」です。

値下げだけで競合他社と勝負していたり、薄利多売では限界利益が少なく儲けにくくなってしまいます

 

儲かりやすい収益構造とは?

残念ながら、限界利益率が低く会社の体質自体が利益の出せない状態になっている場合、そのまま売上を拡大しても上手くはいきません。

逆に言えば、限界利益率が高い会社が売上を拡大していくと、どんどん利益も増やしていく事ができます。

営業利益が残りやすいか

本業の儲けである営業利益を多く残す事のできる会社は儲かりやすいです。「営業利益」は「限界利益」から「固定費」を引いて算出する事ができます。

  • 「限界利益」−「固定費」=「営業利益」(本業の利益)

上記の式から分かるように、営業利益を多く残すためには、

  1. 限界利益率を高め、限界利益を増やす
  2. 固定費を抑える

が必要になります。

先ほど説明したように固定費とは、売上の良し悪しに関わらず毎月かかる費用です。そのため、限界利益を増やしながら固定費を極力抑える事が出来れば、営業利益は大きく増えます。

IT企業やECサイト

その例が、IT企業やECサイトのようなビジネスです。

IT企業は、先行投資費が多額にかかるので始めは赤字の会社が多いです。しかし、ネット上でサービスが提供できるようになり使用する人数が増えていくと、売上はどんどん拡大していきますが、固定費の負担はそれほど増えないので利益が大きく伸びやすい特徴があります。

ネットで物を売っているECサイトも、店舗販売と比べ固定費(新しく店舗を建てる費用・新店を回すための人件費等)がかかりにくいので、利益率が改善しやすい特徴があります。

また、固定費が高めのビジネスであっても、自社でオリジナル製品を作るなどして利益率を大きく上げカバーするというやり方で営業利益を増やす事も出来ます。

ただし、値上げをするのに限界がある様に、限界利益率を高めるのはどうしても限界が来ます。なので投資する際は、利益だけでなく毎年売上が着実に増えているかという点にも着目する事が大切です。

女性アイコン

「利益」と「売上」どちらも大事!

参考にした書籍

今回の記事は「数字」が読めると本当に儲かるんですか?を参考にしています。内容は基礎的なものですが、「限界利益」について会話形式で丁寧に解説されているので、他の書籍で理解できなかった人や数字が苦手な人におすすめです。