経済ニュースなどを見ていると「米国雇用統計」や「ISM製造業景気指数」など米国の経済指標を目にする機会も多いのではないでしょうか。
実際、日本株は米国株の後追いをする傾向にあるので、米国の経済指標の良し悪しが日本の株式市場へ大きなインパクトを与えることもあります。
そこで今回は、覚えておきたい米国の代表的な経済指標や見方について紹介します!
経済指標ってなに?
経済指標とは、各国の政府や中央省庁、中央銀行などが定期的に公表している経済に関する統計です。
特に、米国の経済指標は、世界経済に与える影響が大きいため要チェックです。
景気先取り指標をチェック
経済指標のなかでも、速報性のある情報が投資では重要視されます。
たとえば、経済指標の代表例であるGDP(国内総生産)は、米国4~6月分の発表が7月末に発表というように公表のタイミングが遅く、景気を先取りするのには不向きです。
そのため投資をする上では、景気の先読みに関するために適した経済指標を覚えておくことをおすすめします。

投資では、景気を先取りできる指標のほうが重要!
米国の重要な経済指標3選
それでは、景気を先取りする上で覚えておきたい米国の経済指標を3つ紹介します。
米国雇用統計
米国雇用統計は、米国の雇用情勢をデータ化したもので、米国の労働省が第一金曜日に発表されます。
米国雇用統計では、「失業率」、「非農業部門雇用者数」、「平均時給」、「週労働時間」など雇用に関するデータが10数個発表さるのですが、特に注目度が高いのが「非農業部門雇用者数」です。
非農業部門雇用者数とは、農業や自営業をのぞいた雇用者数の毎月の増減を表したものです。
- 前月比プラス→景気が良くなった
- 前月比マイナス→景気が悪くなった
米国の個人消費は、GDPの7割を占めています。この個人消費にもっとも影響を与えるのが、「雇用情勢」です。
個人消費は雇用情勢に左右されるので、雇用統計の数値が改善すれば、個人消費が増えることが期待できます。反対に数値が悪化すれば個人消費の減少が懸念されます。
非農業部門雇用者数は、事前予想との乖離が大きくなるケースも多く、相場が大きく動きやすい最注目の経済指標です。
ISM製造業景気指数
ISM製造業景気指数は、米国の製造業の景況感を表す指標です。ISM(全米供給管理協会)が毎月第1営業日に発表しています。
ISM製造業景気指数は、製造業350社の仕入れ担当役員に対して新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5項目について「良くなった・悪くなった・同じ」の3択で得た回答をもとに、季節調整を加えた指数です。
ISM製造業景気指数の目安は以下のとおりです。
- 50を超える水準が続く→景気拡大ぎみ
- 50を下回る水準が続く→景気後退ぎみ
ISM製造業景気指数は、主要な経済指標の中でもっとも発表がはやいことや、経済の最前線にいる人の景況感が示されることもあり先行指数として注目されています。
消費者物価指数(CPI)
消費者物価指数は、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を指数化したもので、米国労働省が毎月13日頃に前月分を発表します。
消費者物価指数は、物価動向を知るのにもっとも重要視されている指標です。
- 前年同月比プラス→物価が上がった
- 前年同月比マイナス→物価が下がった
消費者物価指数は、インフレ傾向のときに特に注目度が高まります。
FRBのインフレ目標が年間2%程度なので、少しずつ上がっているなら問題ありません。しかし、急なインフレがおこると、インフレ抑制のための利上げ懸念が高まります。
なお、CPIではさまざまな品目の指標が発表されますが、とくに押さえてておきたいのは以下の2つです。
- 総合CPI→食品・衣料品・ガス・電気などすべての品目が対象
- コアCPI→食料品とエネルギー品目など価格変動の激しい品目をのぞいた総合
総合CPIだけでなく、ブレの少ないコアCPIも合わせて注目されます。
※日本の消費者物価指数は、コアCPI→生鮮食品を除く総合、コアコアCPI→食料品および、エネルギーをのぞく総合と米国とは少し定義が異なります。
経済指標の見方とは
予想と結果の乖離に反応する
経済指標のポイントは、その数字自体の良し悪しではなく、事前の市場予想との乖離の有無が相場に大きな影響を与えます。
経済指標の事前予想と結果の乖離が大きければ相場に与えるインパクトが大きくなります。数字が悪くても市場予想と同じくらいの結果なら、インパクトは小さくなります。
注目の経済指標や指標の解釈は状況で変わる
経済指標をみる上でポイントとなるのは、状況によって注目の経済指標や解釈が変わってくる点です。
現在のようにインフレ率の高さに問題がある場合なら、消費者物価指数のように物価に関する指標の重要性が高まります。
また、経済指標の解釈も状況によって変わってきます。
たとえば、雇用統計の「非農業部門雇用者数」が予想よりも良ければ、景気が良くなってる=ポジティブな材料にも思えますが、景気が過熱してる=利上げのペースが加速する懸念で株価の下落につながることもおこりえます。
参考:金融政策の「利上げ」とは?FRBが利上げをする理由や株価との関係を解説!
そのため、現在の株式市場でどのような経済指標に注目があつまっているかや、懸念されていることに対してポジティブなのかネガティブなのかに注目する必要があります。

同じ指標でも、状況によって市場の反応が変わることも…!
経済指標の確認方法
ここまで経済指標の見方について紹介してきました。さいごに、経済指標の確認方法を紹介します。
私はマネックス証券の「経済指標カレンダー」を活用しています。
- いつ・どんな経済指標が発表されるかがひとめでわかる
- 経済指標の重要度の高さや期間、国でスクリーニングできる
など使い勝手がいいのでおすすめです♪
↓各指標をクリックすると、予想値と結果値の推移をグラフ化したものも見れるので便利です♪