企業を知る際に株価よりも重要なのが、時価総額です。わたしも、気になった銘柄があったときには必ず時価総額を見ています。
そこで今回は、株式投資で役立つ時価総額の見方について紹介します。
時価総額とは
株価500円の企業と、株価1,000円の企業では、どちらのほうが企業価値が高いのでしょうか。
残念ながら、株価だけでは企業の価値をはかることはできません。企業によって、発行している株式数がちがうので、株価だけを見ても全体像は見えないからです。
企業の価値をはかるためには、「時価総額」と呼ばれる、株価と発行済み株式数をかけ算した金額を見る必要があります。
時価総額とは、会社をまるごと買うときの金額であり、時価総額の金額が高い企業ほど、企業価値が高いと言えます。同業他社との規模感を比較する場合には、株価ではなく時価総額を比較するようにしましょう。
企業名 | 株価 | 時価総額 |
三菱UFJFG | 562円 | 約7兆6000億 |
みずほFG | 1,574円 | 約4兆 |
三井住友FG | 3,790円 | 約5兆2000億 |
※2021年3月1日現在
株価からは、企業の規模や価値はわからない!
時価総額で注目するポイント
「時価総額=株価×発行済み株式数」で計算されるので、増資などで発行済み株式数が増えない限りは、時価総額が大きくなったぶんだけ株価も上がります。
そのため、時価総額は現在の企業の規模感をはかるだけでなく、今後株価がどの程度まで上がるかを大まかに予測するのにも役立つのです。
このとき注目したいのは、現在の時価総額・業界の市場規模/成長性・投資家からの評価です。順番に見ていきましょう♪
現在の時価総額は大きすぎないか
まず、大幅な株価上昇を期待して投資するなら、時価総額が小さい企業がおすすめです。
時価総額の大きいランキングを見ていくと、
- 1位トヨタ自動車(約25兆)
- 2位ソフトバンクグループ(約21兆)
- 3位ソニー(約14兆)
…となっています。 時価総額ランキング上位の株は、多くの人が普段から利用しているサービスや、経済ニュースでよく取り上げられるような知名度の高い大企業がそろっていますね。
しかし、すでに25兆の時価総額があるトヨタのような株が、今から5倍10倍と株価を伸ばすのは、現実的には考えにくいのです。(時価総額25兆の企業が10倍になるためには、理論上時価総額が250兆になる必要があるため)
その一方で、時価総額が100億円未満の企業は、まだ一部の地域にしか店舗が無かったり、知名度のあまり無い企業ばかりです。
このような企業が成長にともなって時価総額500億、1000億と成長していくことは、十分に考えられます。
そのため、大幅な株価上昇を期待するのであれば、時価総額が大き過ぎないか(時価総額の上昇余地が残っているか)?に注目するのがおすすめです。
時価総額の大きすぎない企業のほうが、株価上昇が期待しやすい!
市場規模の大きさは?拡大傾向にあるか?
株価の伸びしろを知るためには、その業界の市場規模を知ることも大切です。
市場規模の小さい業界と大きい業界では、基本的には大きい市場に属している企業のほうが時価総額の上値余地も大きいと考えられます。
また、市場規模だけでなく、その業界の市場が拡大傾向にあるか?縮小傾向にあるか?を確認するのも大切です。
コロナの影響もあり、eコマースや、クラウド、ITサービス、電子コミックなどの市場が拡大している一方で、印刷、出版、外食(特に居酒屋)などの市場は縮小傾向にあります。
市場が拡大傾向にあるほうが、将来性の成長が期待できる(株価が上がりやすい)ので、市場規模+成長性までチェックすることをおすすめします!
投資家から評価されやすい業種か
株価の大幅な上昇を期待するのであれば、投資家から評価されやすいかにも注目してみましょう。
例えば、保育園運営の事業で上場している企業の時価総額は、以下のように小さめであることがわかります。
- JPホールディングス(時価総額250億)
- テノHD(時価総額51億)
- キッズスマイルHD(51億円)
- グローバルキッズHD(時価総額25億)
時価総額が小さいということは、投資家からあまり評価されにくい(投資しても大きな利益を得にくい)業種だと推測することができます。
一方で、投資家から人気のクラウド(Saas)の事業で上場している企業の中には、以下のように投資家から評価され、時価総額が大きい企業が多く存在します。
- フリー(時価総額5445億)
- マネーフォワード(時価総額2290億)
- ラクス(時価総額3367億)
- Sansan(時価総額2846億)
そのため、大幅な株価上昇を期待するのであれば、同業他社の時価総額やその業界の上位の会社の時価総額を確認して、時価総額の上値余地を頭に入れておくことをおすすめします!
(投資家の期待が大きいほど、下落リスクも高まる点には注意が必要ですが…)
時価総額が評価されやすい業種のほうが、株価上昇を期待しやすい!
さいごに
時価総額をチェックすることで、企業の全体像が見えてきます。
そこで、今回紹介したポイントに注目して、株価の大まかな上値余地を予想するのに役立ててみてください。
なお、各業界の研究には、会社四季報「業界地図」の活用もおすすめです!オールカラーで見やすく図も多いので見やすいので、業界の規模感や将来性などをチェックするのに便利です。