日本株と米国株では、銘柄コード・配当金・値幅制限・税金・取引時間など異なる部分が多々あります。そのため、米国株投資をするには「米国株の投資ルール」を知っておく必要があるのです。
そこで今回は、米国株投資を行う上で知っておきたい基礎知識をまとめましたので、米国株投資を始めたい人は是非参考にしてみて下さい。
米国株投資の基礎
まずは、米国の個別銘柄への投資で覚えておきたい基礎知識です。以下の表にあるように、日本株と米国株では、投資のルールに違いがあります。
米国株 | 日本株 | |
---|---|---|
銘柄コード | アルファベット1~5文字 | 4ケタの数字 |
最低購入金額 | 株価×1株 | 株価×100株 |
値幅制限 | 制限なし | 1日の株価変動幅に上限・下限あり |
配当金 | 原則4回 | 年に1~2回 |
銘柄コードはアルファベット3~5文字
それでは、ひとつづつ見ていきましょう。まずは、「銘柄コード」です。
日本の銘柄コードは、トヨタ自動車⇒7203というように4ケタの数字で付いています。この数字は業種別に振り分けられているのですが、日本の銘柄コ―ドの場合、数字を見ただけでは企業名を連想することは難しいです。
一方の米国の銘柄コードは、「アルファベット1~5文字」で付いており、企業名を連想できるような銘柄コードが多い特徴があります。
【企業名の頭文字を使用】
- フェイスブック⇒FB
- アマゾン⇒ AMZN
このように企業名の頭文字を使用する以外にも、商品やサービス名・事業内容を元につけている企業もあります。
【企業の事業内容を使用】
- エイビス・バジェット・グループ(レンタカー会社)⇒CAR(意味:車)
- ジェネティック・テクノロジーズ(遺伝子関連)⇒GENE(意味:遺伝子)
- フェラーリ⇒RACE(意味:レース)
関連リンク:米国株おもしろティッカーシンボル大特集 - 経済的自由のススメ
米国株の銘柄コードは、アルファベットから企業を連想できるような面白いものが多い!
全ての銘柄が1株から買える
次に、「最低購入金額」についてです。
日本株の場合は、株価×100株が最低購入金額になっているので、株価が1500円の株を買いたい場合は、最低でも1500円×100株=15万円が必要です。※現在は単元株数は100株で統一されています。
そのため、任天堂のように分割されず株価が高いままの企業は、株主になるのに300万円以上の大金が必要です。つまり日本株の場合は資金量によって投資できる企業が限られてしまうのです。
任天堂のゲームが好きで株主になりたいけど、高過ぎて買えない…
一方の米国株は、全て「1株から」買う事ができます。個別株だけでなく米国ETFも1株から買えます。
そのため米国株は、資金量によって投資できる企業が狭まることも少なく、沢山の銘柄の中から、自由に投資したい企業を選ぶ事ができるのです。
「いくらで株主になれるの?」
- マイクロソフト:108.29ドル(約12200円)
- コカ・コーラ:50.17ドル(約5670円)
2018/11/18の株価(1ドル:113円で計算) 売買手数料・為替手数料は含まない
米国株は、資金量に合わせて好きな分だけ買えるので魅力的ですね。
しかし米国株の手数料は割高ですので、あまり細かく売買しすぎると、取引手数料の負担が大きくなってしまいますので注意が必要です。
ストップ高・ストップ安などの値幅制限がない
次に「値幅制限」についてです。日本株では、投資家保護のためのルールとして「ストップ安」「ストップ高」という1日で上下できる値幅に制限があります。
しかし米国株は、「市場の流動性」を重視するため値幅制限がありません。
そのため、基本的に「買いたくても買えない」「売りたくても売れない」という事態は発生しません。実際に過去に1日で40%上昇したり、40%下落したこともあるそうです。
ただし、「サーキットブレイカー制度」という制度があり、株式市場で株価が短期的に異常に動いた際、一時的に売買を停止することあります。
株価が短期的に異常に動いた際に取引を一時停止することで、投資家に冷静に状況を考えて判断する時間を与え、市場の混乱を軽減し正常な価格に戻させるのが目的。
配当金が年4回貰える
次に株式投資の魅力のひとつである「配当金」についてです。
日本の場合は、配当金は年1~2回で、入金されるのは権利確定日の約3か月後です。そして日本株では株主優待制度があり、クオカードや食事券、企業の商品など様々なものがもらえます。
米国の場合は、株主優待制度はありませんが、配当金を原則として年に4回もらうことが出来ます。さらに、配当金の入金も権利確定日より2週間~1か月後と早いのが特徴です。
米国企業は、連続増配企業が豊富で、日本株よりも配当利回りが高い傾向があります。その理由は、米国の経営方針は「株主資本主義」で、株主のことを第一に考えてくれる経営者が多いからです。
関連記事:「日本株と米国株の違い」米国株が右肩上がりで成長し続ける理由とは?
米国株の税金
続いて米国株投資の「税金」についてです。
日本での米国株投資では、株式を売却した時にかかる税金と、配当金にかかる税金が異なりますので注意が必要です。
株式を売却した時の税金
株式を売却した時にかかる税金(譲渡益税)は、米国内では発生せず、日本国内で20.315%がかかります。日本株投資と同じ税率です。
【譲渡益税】
- 米国内:0%
- 日本国内:20.315%⇒日本株と同じ税率
配当金の税金
一方で配当金にかかる税金は、米国内では10%、日本国内で20.315%がかかります。そして米国内での税金は、NISAで買付ていた場合でも発生します。
【配当課税】
- 米国内:10%⇒NISAでも税金がかかる
- 日本国内:20.315%⇒NISAならかからない
例)米国株で100ドルの配当金が出た場合に受け取れる金額
米国内で100ドルの10%である10ドルを引かれて、90ドルになる。その後さらに日本国内で90ドルの20%(小数点省略)である18ドルが引かれる。
手元に戻ってくるのは、100ドル−(10ドル+18ドル)=72ドル程度で、合計すると、配当金に対して約28%の税金がかかっている。
※ドルで入金された配当金を円に交換すると為替手数料もかかるのでドルのまま持っておいて、再投資をするのがおすすめ!
米国株は、連続増配企業が多く配当利回りも高いのが魅力です。しかし、配当金にかかる税金が、二重課税されるので日本株よりも米国株の方が高くなるデメリットもあります。
ただし、米国内の配当金は、確定申告すると取り戻せる場合があります。
確定申告で取り戻せる?
米国内で支払った税金を取り戻すには、確定申告をする必要があります。
会社員なら会社で「年末調整」をしますよね。その時、生命保険や健康保険に入っていると所得税から控除され税金が一部還付されたと思います。
米国株の税金は、会社の年末調整では申請できませんが、自分で確定申告することで所得税から控除され、税金を取り戻すことが可能です。
- 確定申告で取り戻せる金額は、年収によって変わる(年収が高いほど、支払う所得税も高いので取り戻せる金額も上がる)
- 専業投資家や専業主婦など所得税を払ってない人は取り戻せない。
米国株の取引時間
最後は、米国株投資の「取引時間」についてです。
米国の取引はアメリカ時間の9:30~16:00で統一されています。また日本のような、「前場」と「後場」 の間の「昼休み」はなく時間内は常に取引できます。
米国には、夏時間(サマータイム)と冬時間(標準時間)があり、それぞれの日本時間は以下の通りです。
【米国株の取引き時間】
- 米国の夏時間(サマータイム):日本時間の夜22:30~朝5:00
- 米国の冬時間(標準時間):日本時間の夜23:30~朝6:00
※サマータイムは3月第2日曜日~11月第1日曜日の約8か月間で標準時間より長い
リアルタイムで取引しやすい
日中は仕事をしている会社員は、リアルタイムで日本株の取引がしにくいと思いますが、米国株は夜間なので、リアルタイムで株価を見ながら落ち着いて売買することもできます。
しかし、冬時間では夜23:30~とオープンの時間が夜遅くなってしまいます。そこでおすすめなのが、プレマーケットとアフターマーケットの活用です。
プレマーケットは、米国株式市場が始まる前の22:00~22:30(冬時間)に取引できます。また、アフターマーケットは、米国株式市場が終わった後の翌6:00~10:00(冬時間)まで取引ができます。
日本株のPTS(夜間)取引では、出来高が少なく中々約定しにくいイメージがあると思います。しかし米国株は、投資に参加している人数が多く取引も活発で、比較的約定しやすいので、ぜひ活用してみて下さい。
例えば、引け後に出る米国株決算を見てアフターマーケットで買う事もできる!
プレマーケットやアフターマーケットでの時間外取引ができる日本の証券会社は、現状「マネックス証券」のみです。
さいごに
ここまで米国株取引で必要な基礎知識を解説してきました。
総合すると米国株式市場は、銘柄コードで企業の特徴を出せる・一株から買える・値幅制限がないなど、日本のような規制が少なく自由な部分が多いイメージがあります。
日本株投資の経験がある人は、米国株を買うのはそれほど敷居が高くないと思いますので、米国株投資に興味のある人は少額からぜひチャレンジしてみて下さい!
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