株式市場のニュースなどで、「今日の市場は大商いでした」「商いが薄く様子見ムードでした」などという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
これらは全て株式市場での出来高の事を指しています。なぜニュースで伝えるのかと言うと、出来高は株価の動きを予測する重要なツールだからです。
そこで今回は、株式投資で活用できる出来高の見方や株価への影響を解説しますので、是非参考にしてみて下さい。
株価チャートの「出来高」とは ?
「出来高」とは、一日のうちに取引が成立した株式数です。株価チャートでは、取引量の多さを棒グラフの長さで表現しています。
出来高は、投資家の注目度の高さを表しています。注目度の高い株は、多くの投資家に売買され出来高が多くなりますし、注目度が低ければ出来高は減り閑散とします。
例えば、新しくできた店や人気な店には人が沢山集まりますが、あまり知られていない店やブームが去った店に来店する人は少ないですよね。
株も同じで、新規上場する会社やインパクトのあるニュースが出た会社は、注目され取引したい人が殺到し出来高が増えますが、ブームが去った株や知名度の低い株を取引きしたい人は少ないため出来高も減るのです。
「出来高の急増」は株価の位置とセットで見よう!
単純に出来高の増減だけでは、株の買いや売りの判断に使う事ができません。出来高は「株価の位置」とセットで見る必要があります。
株価の高値圏で出来高が急増
まず、株価の高値圏で出来高が急増した場合は「売りサイン」の傾向があり、買い注文を入れると高値掴みになるリスクがあります。
その理由は、株価が急騰した局面では、利益がかなり出たから売りたいと考える売り手と、まだまだ上昇しそうだから乗り遅れる前に買おうと考える買い手の間で売買が活発に行われるようになります。
その後、買いたい人がひと通り買い終わると、今度は買い手がいなくなり下落する可能性が高いため、「売りサイン」になりやすいのです。
実際に株式市場でも、インパクトのあるニュースが出たり会社が新規上場すると、株価が急騰し出来高が大きく増える事が良くあります。
その時、飛びついて買ってしまうとその後急落するというパターンはとても多いです。心理的には、買い注文を入れないと儲け損なってしまうのでは?と急いでしまいがちですが、出来高が減っていき株価が下げ止まるのをじっくり待って、買い注文を入れた方が結果上手く行く場合が多かったです。
- 株価が急騰し、出来高が急増した局面は「高値掴みになる」リスク有り!
→出来高が減り株価が下げ止まったのを確認してから買い注文をいれるのがおすすめ!
株価の安値圏で出来高が急増
先ほどとは反対に、株価が安値圏で低迷している時に出来高が急増すると「買いサイン」となる傾向があります。
1.好材料が発表されるケース
まずは、株価にとってのプラスのニュース(好材料)が発表された場合です。長い間、株価が安値圏で低迷し、投資家から注目されていなかったが、好材料をきっかけに一気に注目され株価が上昇するという事があります。
但し、「上昇が長続きするのか、もしくは一時的なものなのか」は好材料の内容によるので注意しましょう。※一時的な場合は、出来高の増加が持続しない傾向あり
2.悪材料出尽くしのケース
株価が低迷している時、特に材料もないのに極端に出来高が急増することがあります。これは、株の下落に耐えられなくなった投資家の投げ売りや、信用買いをしていた投資家の反対売買などによって起こるケースです。
反対売買とは、信用買いをした投資家は通常6か月で株を売らなければいけないというルールの事です。資金に余裕があれば、現引き(現物株として保有し直すこと)もできるのですが、資金に余裕がない投資家は、損失覚悟で投げ売りしなければならないのです。
特に信用取引で、自分の資産以上の取引をしていると、大きな下落で損失が膨らみ投げ売りしたくなります。
しかし、安値圏で出来高が急増し売りが出尽くすと、トレンド転換し株価は上昇しやすくなるので、むしろ買いのチャンスになる場合が多いです。
- 株価が下げ止まらない中での、出来高急増は「トレンド転換」の傾向あり
→投資家の投げ売りで売りが出尽くすと株価は急上昇しやすい!
※信用取引のリスクや信用取引が向かない投資法について、「信用取引のリスクとは?」私が株の信用取引をしない理由で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。
「価格帯別出来高」にも注目しよう
「価格帯別出来高」とは、価格帯別に過去の累計出来高を表示したものです。言い換えれば、多くの人がこの価格なら買っても良いと考える適正価格を表しているとも言えます。
上記のチャートでは、3000円から3200円の間で買った人が多いと読み取れます。そして投資家の心理的に、出来高が多いゾーンは①上値抵抗線や下値抵抗線になりやすい、②相場の流れが止まりやすい特徴があります。
①上値抵抗線や下値抵抗線になりやすい理由は、以下の通りです。
- 上昇トレンドの株が価格帯別出来高の多いゾーンまで下落→その価格でなら買っても良いと考える人が増えるため、下値抵抗線になりやすい
- 下降トレンドの株が価格帯別出来高の多いゾーンまで上昇→含み損を抱えていたが買い値付近に戻ったことで手放そうと考える人が増えるため、上値抵抗線になりやすい
そして、価格帯別出来高の多いゾーンでは、相場の株価が上がりにくく下がりにくくなるため抵抗線がボックス相場になり②相場の流れが止まりやすくのです。
逆に、買いもしくは売りの圧力の高まりにより抵抗線を越えた場合は、その方向に一気に株価が動きやすくなります。
チャート分析は、ひとつの指標で判断すると信頼度も低いので、複数の指標を併用することで予測精度を上げるのがおすすめ!
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