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【図解】損益計算書の分析方法とは?優良企業と危ない企業の見分け方を詳しく解説!

 

損益計算書の分析方法とは?優良企業と危ない企業の見分け方を詳しく解説!

今回は、損益計算書の分析方法について紹介します。優良企業と危ない企業の見分け方を図解で詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください!

損益計算書の5つの利益

損益計算書は、5つの利益売上総利益営業利益経常利益税引き前当期純利益当期純利益)で構成されています。

この5つの利益をもとに、企業の収益力を見極めることができます!

なお、損益計算書を分析する際は、理解しやすいように、売上高や利益の金額をもとにおおまかにグラフ化して比較しやすい状態にするのがおすすめです。

 

収益力の高い優良企業の損益計算書

まずは、収益力の高い優良企業の利益パターンを紹介します。

以下は、王道な優良企業の利益パターンの例です。このように、5つの利益の傾きが緩やかに推移している企業は、「収益力の高い企業」と言えます。

収益力の高い企業の特徴は、「原価を抑えて販売できる魅力的な商品を持っている」、「販売管理費を抑えた無駄の少ない経営ができている」などが挙げられます。

商品力が高い企業

以下は、販管費をかけても利益の出る商品力の高い企業(原価率の低い)の損益計算書の例です。

このような損益計算書の企業は、原価が低い商品などを高く売ることができる強みを持っています。

原価を抑えることで、売上総利益が多く残ります。結果、販管費をかけても営業利益をしっかり残すことができています。

原価率が低くても売れる商品を持っている企業は、価格競争に巻き込まれない付加価値の高い魅力的な商品を持っているとも言えるので、企業が儲ける上で大きな強みになります。

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まさに、理想的な収益構造!

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経営効率の高い企業

以下は、販売管理費を抑えた無駄の少ない経営をしている企業の損益計算書です。

売上総利益率がそれほど高くなくても、無駄を省いた効率的な経営をおこなうことで、営業利益を稼げています。 

機械を使った自動化や、アルバイトの活用、接客時間の短縮などで人件費を抑える。費用が高額になるテレビCMではなく、割安なネット広告を使って宣伝する。など、販管費を抑えても売上が上がる仕組みを持っています!

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本業は順調だが一時的な要因で収益力が落ちてる企業

ちなみに、当期純利益が赤字であっても、実は収益力の高い企業というのも存在します。

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注目すべきは、経常利益まではしっかり稼げているにもかかわらず、最終的に赤字となっている点です。

本業で稼げているにもかかわらず赤字となる場合、固定資産の売却損や災害損失などによる特別損失が計上されている可能性があります。

多額の特別損失が計上されると、その期の利益は大きく減りますが、あくまで一時的な損失なので、翌期以降の利益はもどる可能性が高いです。  

つまり、特別損失が無ければ、利益をしっかり稼げる収益力の高い企業である可能性が高いというわけです!

このような場合、当期純利益だけしか見ないと、判断を見誤ってしまうおそれがあるので、5つの利益を総合的に見ることが大切です。

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収益力の低い企業の損益計算書

続いて、収益力の低い企業の利益パターンを紹介します。

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収益力の高い企業と比較すると、5つの利益の傾きが急ですね。このような企業は、収益力が低い企業と言えます。

収益力の低い企業の特徴は、「原価が高く儲けの少ない商品を販売している」、「売上を確保するために多額の販売管理費がかかる」などが挙げられます。

薄利多売な企業

以下は、売上原価が極端に高く儲け(売上総利益)が少ない商品を扱っている企業の損益計算書です。

このような損益計算書になるのは、スーパーや家電量販店のように、同じ商品を同業他社よりもいかに安い値段で販売するかで集客している企業です。

価格競争になると、原価に少ししか利益をのせられません。獲得できる売上総利益が少ないので、使える販管費も限られてきます。(稼いだ売上総利益以上の販管費をかけると営業利益が赤字になってしまうため)

このような企業が利益を増やすためには、売上をどんどん拡大していくことが重要になります。

多額の販管費がかかる企業

一方で、原価率が低く売上総利益は多く残るが、多額の販管費がかかる企業も収益力は低くなってしまいます。

このような損益計算書になるのは、「恒常的に販管費が高いケース」と、「一時的な先行投資で利益が削られているケース」が考えられます。

恒常的に販管費が高いケースは、高級ブランドのバッグや、高価な化粧品などを販売するような企業が該当します。

ブランド価値の高い商品は、原価よりもはるかに高い値段で商品を販売することができます。

しかし、ブランド力を維持するためには、一等地の店舗賃料、販売員の人件費、芸能人を起用したCMの広告宣伝費など多額の販売管理費がかかります。売上総利益の大半が販管費で削られてしまうので、営業利益はそれほど稼げません。

一方、先行投資で利益が削られているケースは、本来は収益力が高い企業が、先行投資や企業買収などによって、多額の販管費が一時的に発生している状態です。

このような企業は、投資期は利益がでないので収益力は低く抑えられますが、将来的に先行投資が成功して利益の回収期に入れば、収益力の高い優良企業になる可能性を秘めています!

借金依存体質な企業

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営業利益は稼げているのに、経常利益が大きく減っている企業の場合、原因は「多額の営業外費用」です。

営業外費用のうち、株式売却損や評価損が原因で経常利益が減っているのであれば、一時的な損失で翌期からは無くなる可能性もあります。

しかし、多額の支払利息が原因である場合、利息はお金を借りている限り発生するので注意が必要です。借金が多すぎて支払利息の負担が重い借金体質の企業は、せっかく営業利益を稼いでも、経常利益を大きく減らすことになります。

本業で儲かっているときは良いですが、儲からなくなった時に営業利益で利息をまかなえなくなると、経常赤字に陥るリスクがあります。

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経営リスクのある企業の損益計算書

営業利益の段階ですでに損失がでているような企業は、儲ける仕組みができていない可能性が高いです。

赤字分をキャッシュで補填するような状態が続くと、資金繰りが悪化して倒産するリスクが高くなるので注意が必要です。

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なお、創業したばかりで売上の少ない企業や、売上獲得を優先するために戦略的に販管費を増やす企業の場合、一時的に販管費の割合が高くなり営業損失となることはあります。

売上拡大につれて販管費が抑えられ利益が出せる見通しがたつのであれば良いですが、いつまでたっても販管費の割合が減らない場合は注意が必要です。

特別利益で利益を捻出している企業

特別利益を計上して、何とか当期純利益を黒字にしているケースも注意が必要です。

本業が赤字の企業でも、値上がりしている土地や建物を売って特別利益を計上し、最終的な利益である当期純利益を黒字化して決算書の見栄えを良くすることもできます。

しかし、利益が増えたのは特別利益のおかげであり、特別利益が無くなれば当期純損失に陥るおそれがあるので注意が必要です。

本業で稼げていないので、特別利益が無くなれば当期純利益も赤字になり経営が危ぶまれるリスクがあります。

当期純利益だけしか見ないと、判断を見誤ってしまうおそれがあるので、5つの利益を総合的に見ることが大切です。

 

損益計算書は同業他社との比較が大事!

ここまで5つの利益を使った損益計算書の見方について紹介してきました。

企業の利益パターンを調べることで、どのような戦略で企業が儲けているのかが見えてきます。

ひとつの利益だけを見ても企業の実態は分からないので、損益計算書を分析する際には、今回紹介したように5つの利益のバランスよく観察することが大切です。

なお、利益パターンは業種によって大きく異なります。そのため、収益力の高さを分析する際には、同業他社との比較が必須です!

同業他社で比較をする場合は、以下のように金額ではなく利益率を見ると簡単に比較することができます。 

参照:マネックス証券 銘柄スカウター

利益率を比較することで、100円ショップ4社の中でセリアの営業利益率がもっとも高く、他社よりも儲けやすい仕組みを持っているとわかります。(販管費率と原価率が他社よりも低いため、営業利益が多く残りやすい)

同業他社と比較して、収益力が際立っている企業は、儲けやすい優良企業である可能性が高いと言えます♪

損益計算書の分析には、マネックス証券の「銘柄スカウター」がおすすめです!

決算の数字をもとに、前期比や利益率を自動で計算したり、同業他社の比較が簡単にできるなど決算書の分析に使える機能が網羅されています♪

参考:マネックス証券の「銘柄スカウター」の機能や活用方法とは?